目次
プロバイオティクス・ヨーグルトとは?
2019年現在、日本では非常に多くのヨーグルトが市場に出回っています。
市販されているヨーグルトには、
- 嗜好品的な要素が強いもの(スイーツ的な要素の強いもの)
- オリゴ糖・食物繊維・ビタミン・鉄分・ラクトフェリンなど有用な栄養成分を添加したもの
- タンパク質を補強し、筋肉増強・スポーツ好きな人ためのもの
- 特定保健用食品・機能性表示食品など健康食品としての色合いが強いもの
など様々な傾向の製品があります。
ここでは特に『プロバイオティクスが含まれるヨーグルト』について整理していきたいと思います。
プロバイオティクスとは
プロバイオティクスの定義は、
「十分な量を投与された際に宿主に健康上の利益を与える生きた微生物」
※食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)の合同専門家会議(2001年)
とされています。
世界中の研究機関で研究がなされ、多くのプロバイオティクスが見つかっています。
プロバイオティクスの応用範囲
2001年の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)の合同専門家会議でのレポートによると、プロバイオティクスが応用できる範囲として次のようなものが挙げられています
- 消化器に関連した疾患
- 細菌、ウイルスによる下痢(例:サルモレラ菌、ロタウイルスなど)
- ヘリコバクター・ピロリ菌感染とその合併症(例:慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃ガンなど)
- 炎症性疾患(例:クローン病、潰瘍性大腸炎など)
- 過敏性大腸
- ガン(例:胃ガン、大腸ガン、膀胱ガン)
- 便秘の予防・解消
- 粘膜免疫強化(例:マクロファージ活性化、NK細胞増強、slgA分泌亢進など)
- アレルギー(例:食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息心など)
- 血管疾患(コレステロールの低下)
- 泌尿器疾患(例:カンジタ膣炎、尿路感染症)
ここに挙げられている効果以外にも今日では「お口の中の健康」、「高血圧の予防」、「安眠」、「プリン体対策」、「ダイエット効果」、「美肌効果」「マウスの寿命の伸長・アンチエイジング」など様々な効果が確認されています。
プロバイオティクスとはこのような効果を食べた人や動物にもたらす菌や食品のことを指します。
すべてのヨーグルトがプロバイオティクスというわけではない
とりあえずスーパーに行って適当にヨーグルトを買ってきて食べれば上のような効果が得られるかどうかといえば、必ずしもそうではありません。
確かにヨーグルトに法律で定められた量以上の乳酸菌が含まれています(発酵乳には1mlあたり1000万個の乳酸菌または酵母菌が含まれる)。
ヨーグルトに使用される菌の種類は、一般的には伝統的な菌であるブルガリア菌とサーモフィラス菌が使われることが多いようです。
しかし、どのような「プロバイオティクス菌」が含まれているかわかなければ、そのヨーグルトに期待される効果もわかりませんね。
プロバイオティクスを掲げるなら『菌株』の研究成果が必要
『プロバイオティクス』を商品のキャッチフレーズとして使うならその製品に含まれる菌に『具体的な研究成果』が必要であると思われます。
プロバイオティクスとして研究・開発されている善玉菌には、
<例:>
- 2週間摂取してもらったところ、ビフィズス菌が増加し、便の質が改善されました。
- 被験者に継続的に摂取してもらったところNK細胞が活性化することが確認されました。
- 花粉症の症状が有為に改善されました。
- ピロリ菌の数が有為に減少しました
といったような効果・効能がメーカーや研究期間などから公表されています。
『プロバイオティクスヨーグルト』には「研究成果の公表されている"名"のある菌株」が含まれているべきだと思います。
研究成果はなくとも、少なくとも「生きたまま腸に届く」といった情報がなければプロバイオティクス・ヨーグルトとしては認められません。(個人的な意見ですが)
研究成果があってもパッケージには記載できない?
メーカー・研究機関が費用や時間をかけてある菌を研究して、その菌入りのヨーグルトを製品化したとしても、特定保健用食品や機能性表示食品の表示許可を取得しない限りは基本的にはその研究成果をパッケージに記載することはできません。
なぜなら次のような文言をキャッチコピーにしてしまうと薬機法(旧薬事法)に違反してしまうからです。
- ピロリ菌と戦うLG21乳酸菌!LG21は胃で働いて胃がん予防!
- R-1乳酸菌の作り出したEPSでNK細胞を活性化!インフルエンザにかかりにくくなる!
このような理由からメーカーは、
- 胃で働く乳酸菌
- 強さひきだす乳酸菌
といった、その菌の効果をなんとなくイメージしたキャッチコピーにせざるをえません。
しかし、これではイマイチ、ヨーグルトの健康食品としての効果が掴めませんね。
そこで私達消費者はメーカーサイトなどで公表されている研究成果を自分で確認して、「このヨーグルトにはこんな効果が期待できるかもしれない!」といった具合にプロバイオティクスヨーグルトを選ぶことになります。
プロバイオティクスは生きて腸まで届かなければ意味がないか?
実は死んでしまった菌にも整腸作用などの良い効果があることは100年以上も前からわかっています。(死んでしまった菌も腸内細菌によって分解され、腸内細菌のエサになるなどして好ましい効果をもたらしてくれます)
しかしながら、
- 目的の場所に生きて届いてもらわなければならない菌
- 生きていても死んでいてもどちらでもいい菌
これらは『菌株』によって事情が違うのです。
たとえば、人気のLG21ヨーグルトに含まれるLG21株はピロリ菌の潜む『胃』まで元気に生きて届き、そこで胃酸に耐えて胃の細胞に付着し、ピロリ菌と戦ってもらいたいです。
一方、同じく定番のR-1ヨーグルトの場合は、R-1乳酸菌の場合は菌の作りだしたEPS(菌体外多糖)が免疫細胞を活性化してくれます。つまりR-1乳酸菌が生きたまま腸に届くかどうかはあまり重要ではありません。
このように菌に目的の場所まで生きて届いてもらいたいかどうかは個別の菌ごとに検討しなければなりません。
※菌のカラダ(菌体自体)や菌の作り出した物質による効果はプロバイオティクスではなく、バイオジェニックスと呼ばれることも有ります。
やはり植物性乳酸菌を含むヨーグルトがいいのか?
植物性乳酸菌(植物から発見された乳酸菌)の特徴は生命力が強いことです。
植物の葉などはエサが少なく、日光や酸素などにもさらされます。これは菌にとってとても過酷な環境です。このような環境で生き抜くため植物性乳酸菌は非常にタフなのです。
一方、動物由来(ヒトなどから発見された)の菌は腸の中という菌にとって比較的住みやすい環境に住んでいたため、強い酸性や酸素に弱いものがあります。
しかし、これはあくまで一般論です。プロバイオティクスとして開発された乳酸菌・ビフィズス菌は由来(発見された場所)がヒトだろうと、乳製品だろうと、生きたまま腸に届くものがたくさんあります。
菌の由来だけではなく、具体的な研究成果も見てプロバイオティクス菌を選ぶことが重要です。
プロバイオティクスヨーグルトのまとめ
プロバイオティクスヨーグルトとは『具体的な研究成果のある善玉菌入りの機能性ヨーグルト』です。
- 多くのプロバイオティクスヨーグルトはいわゆる『健康食品』であるため、具体的な効果などをパッケージなどに記載することはできない
- プロバイオティクス菌が腸まで生きて届くことは必ずしも必要ない(菌によって、作用の仕方が違うため)
- 菌の発見された場所(植物由来、ヒト由来)によって、その菌を含むプロバイオティクスヨーグルトの優劣が決まるわけではない
スーパーに行くと「機能性ヨーグルトコーナー」があったりしますが、そこのコーナーに置いていなくともプロバイオティクス乳酸菌・ビフィズス菌が使用されていればプロバイオティクスヨーグルトということができますね。
では、プロバイオティクスではないヨーグルトを食べても効果は得られないのか?
答えは、「必ずしもそうではない」です。
プロバイオティクスではない普通のヨーグルトを食べたとしても、多くの場合一般的な乳酸菌の効果(=腸内フローラへの良い効果)は期待できそうです。
”一般的な乳酸菌の効果”さえもない乳酸菌を含むヨーグルトもなかにはあるかもしれませんが、こればかりは研究成果がない(あるいは公表されていない)以上は私達消費者にはわからないことです。
仮に腸内フローラへの良い効果がなくてもヨーグルトは栄養豊富な食べ物なので、少なくともタンパク質などの栄養補給には役立つことでしょう。
おすすめのプロバイオティクスヨーグルトは?
プロバイオティクスは安全である反面、効果がマイルドあることが特徴です。
効果を得るにはそのプロバイオティクスを継続的に数週間は摂取しないといけません。
というわけで、プロバイオティクス・ヨーグルトを選ぶ際にはそのヨーグルトが手に入りやすいかどうかという点も非常に重要な要素になってきます。
また、食べ続けるには好みにあったもの(おいしいもの)を選びたいですね。
- おいしさ
- 入手のしやすさ
- 実績
このような観点からプロバイオティクスヨーグルトを選ぶとするとやはり、
- 乳酸菌を関与成分とする食品で最初に特定保健用食品となったLGG乳酸菌を含むおなかへGG!
- 正統派のプレーンヨーグルトである明治ブルガリアヨーグルト
- ビフィズス菌BB536株を含むビヒダス
- ビフィズス菌SP株およびガセリ菌SP株を含む恵 プレーンヨーグルト
- 一本に200億個もの乳酸菌シロタ株を含むヤクルト(発酵乳ではなく乳酸菌飲料ですが)
- 世界的に利用されるビフィズス菌Bb-12株を100gあたり40億個含む小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト
以上のような特定保健用食品のヨーグルトがオススメです。
特定保健用食品の効果は消費者庁のお墨付きであり、含まれる乳酸菌・ビフィズス菌などの菌数もしっかりと明記されています。
機能性表示食品のヨーグルトも登場してきた
2015年4月から新たな制度として機能性表示食品制度がスタートしました。
特定保健用食品の場合は消費者庁の個別審査を受けなればなりませんでしたが、機能性表示食品の場合はしっかりとした科学的根拠があれば整腸作用などの効果をパッケージに書いてもよいことになったのです。
- 生きたまま腸に届くさらに腸で増殖も可能なビフィズス菌BifiXを100gあたり100億個含み、整腸作用の期待できる朝食ビフィックスヨーグルト
- ガセリ菌SP株を含み、内臓脂肪の低減が期待できる恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト(2018年にトクホになりました)
- おなかの不快感をやわらげるという作用をもつビフィズス菌BE80を含むダノンビオ
- ロイテリ菌を含み、歯茎の健康に良いOHAYO ロイテリ ヨーグルト
- 血圧高めの方にオススメのヨーグルト、ルナのむヨーグルト
- 植物性乳酸菌ラブレ菌が配合され、整腸作用が期待できるカゴメ ラブレ α
- 腸内環境改善作用をもつビフィズス菌HN019株を含む「ヤツレン シュッポッポのむヨーグルト」
- 歯と歯茎の健康に関して機能性表示食品になったL8020ヨーグルト
- 食後の血清尿酸値上昇抑制効果が期待できる明治プロビオヨーグルト PA-3
- 目や鼻の不快感を緩和する乳酸菌ヘルベ ヨーグルト
これらのヨーグルトは機能性表示食品の表示許可を取得しています。
※特定保健用食品・機能性表示食品の関与成分が入ってるヨーグルトはこちら→にまとめました。
プロバイオティクスヨーグルトアクセスランキング
当サイトでアクセスの多いプロバイオティクスヨーグルトは次のようなものです。
数時間おきに自動的に更新されます。
-
マルエツ限定 おいしいヨーグルトプレーン 450g 生存型ビフィズス菌LKM512 脂肪ゼロ
生きたまま腸に届き増える -
セブンプレミアム プレーンヨーグルト ビフィズス菌LKM512配合 400g
生きたまま腸に届き増える -
森永乳業ビヒダスBB536 プレーンヨーグルト
生きたまま腸に届く -
ビヒダスBB536 プレーンヨーグルト脂肪0
生きたまま腸に届く -
トモエ乳業 北海道プレーンヨーグルト プロバイオティクス 脂肪0
生きたまま腸に届く
たくさんのヨーグルトを食べる場合は低脂肪・脂肪ゼロがオススメ
毎日たくさんヨーグルトを食べる場合は、低脂肪・脂肪ゼロタイプがオススメです。
プロバイオティクスの概念を着想したロシアの微生物学者イリヤ・メチニコフ博士は100年もの昔からヘルシーであるという理由から無脂肪乳で作ったヨーグルトをオススメしていました。
乳酸菌やビフィズス菌は脂肪分をエサにするわけではないので、低脂肪・無脂肪だからといって、普通の牛乳で作ったヨーグルトより菌数が少なくなってしまうといったことは通常はないと思われます。(※乳酸菌・ビフィズス菌のエネルギー源はオリゴ糖などの糖質)
プロバイオティクスヨーグルトの効果的な食べ方
メーカー・研究機関の善玉菌の研究をみると、その善玉菌を数週間に渡って毎日摂取してもらって効果を確認しています。
ヨーグルトの量としては1日100g程度が目安のようです。
プロバイオティクスヨーグルトは医薬品ではないので、食べたらすぐに効果が実感できるわけではありません。
継続して適切な量を食べ続けましょう。
食べるタイミングは?
菌が生きたまま腸に届く必要のないヨーグルトもありますが、せっかく生きている菌を摂取するなら生きたまま腸に届けたいですね。
善玉菌を1%でも高い生存率で腸まで到達させたいなら、
胃酸が薄まり胃の中のpHが4〜5にあがった「食後」
にヨーグルトを食べるの良いかと思われます。
プロバイオティクスヨーグルトに使用される菌およびプロバイオティクス・ヨーグルトの種類一覧
特定保健用食品や機能性表示食品のヨーグルトはパッケージに具体的な効果が書いてあってわかりやすいです。
これまでに当サイトで食べてきた「プロバイオティクス入りのヨーグルト」(乳酸菌飲料なども含む)を善玉菌の種類ごとにまとめました。
菌の効果は研究成果であり、菌を含む製品の効果・効能ではありません。
※医薬品、医薬部外品、特定保健用食品などの一部の製品には善玉菌による整腸作用などの保健効果がある製品があります。
キリンと小岩井によって発見された菌。善玉菌の中で唯一「プラズマサイトイド樹状細胞」を活性化でき、哺乳類の免疫力を総合的に強化することを期待できる。2012年デビュー。
ナチュラルキラー細胞を活性化させる多糖体(EPS)を産生する菌。佐賀県有田町の実験で小学生のインフルエンザ感染率を下げた研究成果によって一躍有名になった。
一般的なビフィズス菌に比べて、桁違いの生存率で腸に到達し、増殖。ポリアミンというアンチエイジング作用のある物質を大腸で作り出してくれる。整腸作用から特定保健用食品の関与成分にもなっている。
森永乳業が開発したビフィズス菌。多くの効果が確認され、世界30カ国以上に輸出される信頼・安心のビフィズス菌。
グリコによってヒトから発見されたビフィズス菌。腸まで生きて届いてさらに増殖する。増殖も早いのが特徴。機能性表示食品の関与成分にもなっている。
ダノンが世界70カ国に展開するビフィズス菌BE80株。高い生存率で腸に到達する。「おなかの不快感をやわらげる」という効果から機能性表示食品になった。
家森博士が長寿の多いコーカサス地方から持ち帰ったカスピ海ヨーグルトを作り出す菌。様々な効果が確認されている。家庭でも培養できる。
植物由来の乳酸菌の代名詞的な菌。生きたまま腸に届き、免疫力強化、インフルエンザ予防なども期待できる。整腸作用から機能性表示食品の関与成分にもなった
ヤクルト社によって「胃」で活躍するために開発されたビフィズス菌。胃の機能を回復、ストレス軽減、ピロリ菌抑制作用など、他のビフィズス菌とは一線を画す効果を期待できる。
旧雪印乳業によって発見されたビフィズス菌。生きたまま腸に到達する。特定保健用食品の関与成分にもなっている。
ヤクルトが世界に誇る乳酸菌。長い歴史を持つ。整腸作用以外にも様々な効果が確認されている。もちろん特定保健用食品の関与成分になっている。
世界50カ国以上で利用される菌。腸管への付着性が強いのが特徴。免疫調整機能など多くの効果が確認されている。乳酸菌のトクホの歴史はこの菌から始まった。
世界的に利用される信頼性の高いビフィズス菌。整腸作用から特定保健用食品の関与成分にもなっている。