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ビフィズス菌とは
ビフィズス菌はヒトの小腸下部から大腸に常在し、500~1000兆個もの細菌から構成される腸内フローラのなかでも特に重要な善玉菌です。
ビフィズス菌と乳酸菌は同列に「善玉菌」として分類されることが多いですが、数量的には成人の腸内の善玉菌の99%以上がビフィズス菌です。
ヒトの糞便に見られるビフィズス菌は、
- Bifidobacterium adolesentis
- Bifidobacterium bifidum
- Bifidobacterium breve
- Bifidobacterium catenulatum
- Bifidobacterium longum subsp. infatis
- Bifidobacterium longum subsp. longum
- Bifidobacterium pseudocatenulatum
の7種類が主なもので、全部で約10種類に属するビフィズス菌がヒトから分離されるようです。
ヒトの腸内フローラの構成は人それぞれ違うのでどの種類の菌が、どのくらいの数いるかは専門の機関で糞便を分析してもらわないとわかりません。
(日本人の場合は一人から十数種類のビフィズス菌が発見されることもあるそうです。)
ビフィズス菌と乳酸菌の違い
乳酸菌とビフィズス菌は同じ種類の細菌であると認識されていますが、生物学的には異なった種類の菌に分類されています。
ビフィズス菌 | 乳酸菌 | |
---|---|---|
ヒトにおける棲息場所 | 主に小腸下部から大腸 | カラダのいたるところ |
役割 | 腸内フローラにおける主要な善玉菌 | 一般的に善玉菌として良い効果をもたらす |
主な産生物質 |
乳酸および酢酸 |
主に乳酸 |
菌の強さ | 一般的に酸素や強い酸性に弱い | 酸素や強い酸性に強いものもある(菌による) |
名前の由来など | 多くがYの字形の独特な形状ををしており、かつては乳酸菌の一種『ラクトバチルス・ビフィダス』としてラクトバチルスの一種に分類されていた。現在ではビフィドバクテリウム属として独立した。 |
『乳酸菌』とは乳酸を多量に作る細菌のことで、慣用的な呼び名。消費したぶどう糖に対して50%以上の乳酸を産生する。細胞形態は桿菌または球菌。 |
ビフィズス菌は一般的には嫌気性(酸素があると生育できない)の細菌で、人の場合は主に酸素のない小腸下部から大腸に住んでいます。
エネルギー源はブドウ糖や乳糖などの糖で、生育にはアミノ酸やビタミンも必要とします(株によって必要とするものは違う)
ビフィズス菌が発育に最適な環境は酸素が非常に少なく、温度は37〜41℃、最適なpHは6.5〜7.0の環境です。
強い酸に弱いのでビフィズス菌をヨーグルトやサプリなどから摂取しても空腹時の胃酸などで死んでしまうこともあります。
ビフィズス菌のヒトに対する効果
ビフィズス菌の効果は種類・株によってことなりますが、一般的な効果は次のようなものです。
腸内のphを酸性に傾け、悪玉菌を抑制する
毒素を作り出したり、腸内を腐敗させるウェルシュ菌などの悪玉菌はアルカリ性を好みます。
一方、ビフィズス菌は乳糖などのオリゴ糖をエサにして乳酸と酢酸を作り出し、腸内pHを酸性に傾け、大腸を悪玉菌の増殖しづらい環境にしてくれます。
また、酢酸は強い殺菌力を持ち、悪玉菌を抑制してくれます。
ビタミンB群やビタミンK群を産生する
ビフィズス菌はビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチン、ニコチン酸などのビタミンB群やビタミンKを合成する働きがあります。
(ビタミンを合成する能力はビフィズス菌の種類や株によって違います。)
ビフィズス菌はビオチンを消費するが産生もする
ビフィズス菌は種類や株によって増殖する際にビオチンを必要とする一方、作り出す能力もあります。
しかし、どんなに日頃の食生活に気をつけたとしても「ビオチンをもりもりと産生するビフィズス菌」ばかりを狙いすまして増殖させることは、おそらく不可能でしょう。
たとえ、ビフィズス菌・乳酸菌をサプリメントなどから摂取したとしても、その菌によって私達の腸内フローラが支配されてしまうわけではありません。
一般的に、
腸内環境を改善する=ビフィズス菌を増やして、悪玉菌を減らす
です。
ビオチンのことが気になってビフィズス菌を増やすことを躊躇してる方もいるようですが、腸内環境を改善すれば便秘・下痢の改善でだけでなく、栄養素の消化・吸収の改善も期待できます。
ビオチンを積極的に摂取したい方はプロバイオティクスなどで腸内環境を改善した上、さらにビオチンのサプリを飲めばビオチンは小腸で十分に吸収されるのではないでしょうか。
ビフィズス菌が住んでいるのは主に小腸下部から大腸です。
アレルギーに関する効果
アレルギーを持つ子供の腸内細菌はビフィズス菌が少なく、クロストリジウムに属する菌が多いことがわかっています。
このことからビフィズス菌にはアレルギー症状に関連があることが示唆されています。
コレステロール値低減作用
ビフィズス菌が腸内のコレステロールの半分を腸で吸収されにくいコプロスタノールのいう物質に分解します。
このような作用からビフィズス菌にはコレステロール値を低減させる効果があると考えられています。
ビフィズス菌が減る要因、増える要因
健康で長生きするためには粘膜免疫の60~70%が集中する腸管を健全に保つことがとても重要です。
腸内環境を健全に保つ上で、ビフィズス菌はとても重要な働きをしています。
しかし、成年期にはは腸内フローラの10〜20%を占めていたビフィズス菌の割合は加齢とともにビフィズス菌は減少し、老年期にその割合は腸内フローラの0〜1%になってしまうこともあります。
ちなみに乳幼児のころはビフィズス菌の腸内フローラにおける割合は95%以上です。
ビフィズス菌が減る要因
- 高脂肪、食物繊維少なめな食事、過食、絶食
- 肉体的、精神的に過度なストレス
- 運動不足
これらのようなことが続くと、たとえ若くて健康な人であってもビフィズス菌は減少してしまいます。
積極的にビフィズス菌を増やす方法
腸内のビフィズス菌を積極的に増やす方法として、
- プロバイオティクス
- バイオジェニックス
- プレバイオティクス
の3つがあります。
プロバイオティクス
生きた善玉菌を含んでいて、食べたヒトに好ましい影響を与える食品をプロバイオティクスと呼びます。
ヨーグルト、納豆、サプリメント、漬物などに含まれる生きた善玉菌をとることによって腸内環境を改善し、ビフィズス菌を増やすことができます。
しかし、どんなでも菌でもとにかく取ればいいというわけではありません。善玉菌の種類や株によって効果は違ってきます。
どの商品、どの菌を選べばよいか悩んだ時には、ドラッグストアやスーパーで買える特定保健用食品(トクホ)などの消費者庁のお墨付きのあるプロバイオティクスを選ぶと良いかもしれません。消費者庁の個別審査を受けて効果が検証されていますから安心です。
また、生きたビフィズス菌自体をとらなくても乳酸菌などの善玉菌を摂取すると腸内環境が改善され、ビフィズス菌が増えることがわかっています。
乳酸菌などの善玉菌の実験結果・研究成果には次のような記述が多く見受けられます。
ビフィズス菌を増やしたい場合でも、必ずしも生きたビフィズス菌を摂取する必要はありません。
乳酸菌などの善玉菌を摂取することによって、もともと私達の腸に常在しているビフィズス菌が勢力を増すわけです。
バイオジェニックス
バイオジェニックスとは菌の菌体(カラダ自体)や菌の作り出した物質などによる良い効果を指すものです(狭義のバイオジェニックス)。
乾燥酵母、加熱殺菌済みの乳酸菌の菌体、乳酸菌が菌の外に産生した物質などにも整腸作用あり、ビフィズス菌を増やす効果があることが確認されています。
善玉菌は大腸まで生きたまま届く菌のほうがいいようなイメージがありますが、実は100年以上の昔から死んだ乳酸菌にも整腸作用などがあることはわかっていました。
また、バイオジェニックスには、
- 品質の安定性
- 商品のバリエーション
- 一度に非常に多くの菌数を摂取することができる
などプロバイオティクスに対していくつかの利点があります。
プレバイオティクス
善玉菌を摂取するのではなく、大腸まで消化されずに届いてビフィズス菌のエサになったりして、腸内環境を改善する食物をプレバイオティクスと呼びます。
難消化性のオリゴ糖は消化・吸収されにくく大腸まで到達し、ビフィズス菌のエサになります。
腸内のビフィズス菌を増やすにはオリゴ糖を摂取するのがもっとも確実な方法かもしれません。
オリゴ糖を食べて続けたところ、腸内細菌におけるビフィズス菌の割合が飛躍的に増えたというデータもあります。
食物繊維は便のかさを増したり、腸内環境を改善する働きがあります。
ビフィズス菌の効果的な摂取方法
多くのビフィズス菌はプロバイオティクス(=生きた菌入りの食品)として用いられます。
プロバイオティクスとして開発として開発されたビフィズス菌は基本的に生きたまま腸に到達します。
しかしながら、たとえヒト由来のビフィズス菌(比較的定着しやすい)だとしても、他人から見つかった菌が自分に定着してくれることは難しく、摂取しても数日ですべて排出されてしまいます。
つまり、ビフィズス菌の効果を得るためには毎日毎日、習慣的にビフィズス菌を摂取することが必要なのです。
一般的な摂取目安量はビフィズス菌入りのヨーグルトなら目安としては1日100g前後以上、ビフィズス菌の菌数にして10~数十億以上になります。
死んでしまったビフィズス菌では意味がないのか?
たとえ死んでしまったビフィズス菌(あるいは摂取したビフィズス菌が胃酸などで死んでしまった)でも、ビフィズス菌の菌体は腸内細菌によって分解されて、もともと腸内に棲息する善玉菌のエサになるなどして、良い効果をもたらすことが期待できます。
なかにはビフィズス菌BR-108株のようにあらかじめ殺菌処理して用いられるものもあります。
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