プレバイオティクスとは
プレバイオティクスは善玉菌を摂取するわけではなく、もともと腸内にいる善玉菌を活性化したり、腸の活動を改善して腸内環境を改善する食品のことを指します。
生きた菌や菌体それ自体を摂取して腸内環境を改善しようとするプロバイオティクス・バイオジェニックスとは手段は違いますが、腸内環境を改善しようという基本的な目的は同じといっていいでしょう。
プレバイオティクスは以下のような条件を満たす食品を指します。
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大腸まで分解・吸収されないで到達する
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大腸に住む善玉菌にとってのみの栄養源(悪玉菌のエサにはなりにくい)となり、善玉菌の増殖を促進する
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大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する
プレバイオティクスとして食物繊維とオリゴ糖がよく知られています。お腹の調子を改善するという保健機能から、トクホ(特定保健用食品)のお墨付きを受けている商品も数多く存在します。
プロバイオティクスとシンバイオティクスを同時に摂取することをシンバイオティクスと呼びます。
食物繊維
第六の栄養素
食物繊維は従来はヒトにとって役に立たないものと考えられていましたが、近年では炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素につぐ、「第六の栄養素」として注目されています。
食物繊維には様々な種類がありますが、その性質から大きくわけて水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維にわけることができます。それぞれ、ヒトに及ぼす生理作用に特徴があります。
厳格なプレバイオティクスの定義によると不溶性食物繊維はプレバイオティクスには含まれないとされる場合もあるようですが、一般的には不溶性食物繊維、水溶性食物繊維を2:1で摂取することが良いとされています。
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)では、食物繊維の目標量は、18歳以上では1日あたり男性20g以上、女性18g以上とされています。
不溶性食物繊維
水に溶けない不溶性食物繊維は腸内に蓄積され便のかさを増やし、腸内に発生した腐敗物質・有害物質の排出を促す作用があります。
水溶性食物繊維とのバランスを考えて適度に摂取するのが良さそうです。
水溶性食物繊維
水を含んでゲル状になる水溶性食物繊維は栄養素の吸収を穏やかにします。コレステロールや糖質の腸内からの吸収を妨げ、コレステロールや血糖の上昇を抑える効果があります。
水溶性食物繊維は不溶性食物繊維に比べて腸内細菌による発酵を受けやすいことが特徴です。
腸内細菌によって分解される食物繊維
食物繊維は大腸に住むクロストリジウムなどの腸内細菌によって分解され、酪酸やプロピオン酸といった短鎖脂肪酸やビフィズス菌などの善玉菌が利用できる糖に変換されてます。
短鎖脂肪酸の効果:
- 腸内pHを下げ、悪玉菌を抑制する働き
- 腸管バリア機能を向上させる働き
- 大腸がんの予防効果
- 免疫バランスを調整する効果
ヒトの消化酵素では分解できない食物繊維ですが、腸内細菌によって分解されヒトが利用できるようになります。
オリゴ糖
オリゴ糖のオリゴはギリシア語で”少しの”という意味の難消化性の糖です。
ヒトの消化酵素によって分解されず、大腸まで届きビフィズス菌・乳酸菌のエサになります(悪玉菌のエサにはなりにくい)。
毎日オリゴ糖を摂取すれば腸内細菌のうちで通常10〜20%程度を占めるビフィズス菌の割合をさらに増やすことも可能です。
オリゴ糖を含む商品は「おなか調子を整える」という保健機能から、特定保健食品のお墨付きを受けているものもたくさんあります。
オリゴ糖は野菜や果物、牛乳などにも含まれていますが、その量はわずかなので、確実な効果が期待できるほどの量ではありません。サプリメントや健康食品から摂取するのが合理的です。
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大豆に含まれるオリゴ糖の総称。大豆から油脂やタンパク質を取り除いたものを原料として作られる。他の豆類にも含まれる。甘みは砂糖の70〜75%。スッキリしたおいしさ。一日摂取目安量は2〜6g。
はちみつ、みそ、醤油などに含まれるオリゴ糖。とうもろこしのでんぷんに酵素を作用させて作られているものが多く出回っている。熱や酸に強く、食物にうまみやコクを与える。一日摂取目安量は10g。
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ビフィズス菌増殖促進因子
プレバイオティクスはオリゴ糖と食物繊維が一般的ですが、スイスの伝統的なチーズの発酵などに使われるプロピオン酸菌が産生する物質にもビフィズス菌の増殖を促す効果があります。
プレバイオティクスの効果は研究成果であり、プレバイオティクスを含む製品の効果・効能ではありません。
※医薬品、医薬部外品、特定保健食品などの一部の製品にはプレバイオティクスによる整腸作用などの保健効果がある製品があります。