胃がんの原因の8割を占めるといわれるピロリ菌
2014年、世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関」は「胃がんの8割がピロリ菌の感染が原因である」と報告しています。
日本でのピロ菌の感染者は5000万人以上、50歳以上では70〜80%になると言われています。
ピロリ菌は胃粘膜に定着し、菌体から伸びた針状の構造物を胃粘膜上皮細胞に突き刺し、病原因子CagAを注入します。
ピロリ菌に感染すると胃壁の細胞が攻撃され、胃ガンになるリスクが5〜10倍になります。
ピロリ菌を保菌者は程度の差はありますが、組織学的に胃炎を患っているとのことです。
プロバイオティクスでピロリ菌抑制
ピロリ菌は抗生物質で除菌することが可能ですが、その際にピロリ菌を抑制する作用のあるプロバイオティクスを併用すると、
- ピロリ菌除菌率の向上
- 副作用を軽減
- 感染の再発を防止
このような、ピロリ菌治療の効果を一層高めるという報告がされています。
善玉菌によるピロリ菌抑制のメカニズム
- 生きて胃に届いた乳酸菌が乳酸を出してピロリ菌を攻撃(LG21乳酸菌)
- 抗ピロリ菌作用のある物質でピロリ菌を抑制(SN13T株、SN35N株)
このようにプロバイオティクス菌によってピロリ菌抑制のメカニズムは異なります。
善玉菌のピロリ菌に対する効果は『抑制』という表現にとどまり、『完全に除菌』といったものは見受けられません。
やはりピロリ菌対策でオススメなのはLG21乳酸菌
- 入手のしやすさ
- 製品のバリエーション
- 菌の研究成果
これらの点からもっともオススメなのはピロリ菌対策にもっともオススメなのはやはりLG21乳酸菌です。
ヤクルト社のビフィズス菌B.ビフィダム Y株は胃で活躍
ビフィズス菌B.ビフィダム Y株にも次のような効果が確認されています。
- 胃粘膜の炎症を抑える効果
- 胃の不快感の改善作用
- 試験管内でピロリ菌と一緒に培養したときに、ピロリ菌の増殖を抑制
サプリメントタイプならロイテリ菌
ピロリ菌に対する効果が公表されている菌で、サプリメントタイプの製品としてはロイテリ菌プロデンティス、ロイテリ菌プロテクティスがあります。
サプリメントのほうが継続しやすいというメリットがありますね。
SN13T株、SN35N株は抗ピロリ菌物質を産生
植物性乳酸菌(植物由来の乳酸菌)SN13T株、SN35N株は抗ピロリ菌活性のある物質を産生します。
アシドフィルス菌にも効果が期待できる
その他にはクリスチャン・ハンセン社の保有するアシドフィルス菌にもピロリ菌の活性や胃炎を減少させる効果があるという報告があります。
(※すべてのアシドフィルス菌に抗ピロリ菌作用が確認されているわけはありません。)
他の乳酸菌にもピロリ菌に対する効果があるか?
ヤクルトに含まれる『シロタ株』にもピロリ菌に対して次のような効果が確認されています。
- シロタ株はピロリ菌に感染させたマウスへのピロリ菌の定着能を減少させます。
- in vitro(=試験官の中)での実験ではシロタ株はピロリ菌の増殖を抑制しました。
シロタ株は素晴らしいプロバイオティクスですが、ピロリ菌対策の菌としては同じヤクルト社の菌のなかではビフィズス菌B.ビフィダム Y株のほうが良いかと思われます。
すべての乳酸菌・ビフィズス菌がピロリ菌除去に対して効果があるわけではない
ピロリ菌に対する効果が公表されている菌はそう多くはありません。
ピロリ菌対策には抗ピロリ菌のしっかりとした研究成果のある菌が含まれているヨーグルト・サプリメントを選びましょう。
プロバイオティクスでピロリ菌抑制には継続することが必要
プロバイオティクス・バイオジェニックス(菌体または菌の産生物質による効果)の効果は良くも悪くもマイルドです。
乳酸菌・ビフィズス菌でピロリ菌抑制効果を得るには、数週間から数カ月といった期間にわたって継続して摂取し続ける必要があります。