日本の市場には7500種類ものヨーグルト(発酵乳)が出回っているといいます。
ヨーグルトの選び方、食べ方のポイントをまとめてみました。
目次
ヨーグルトを機能性(効果・効能)・成分から選ぶ
プロバイオティクス・ヨーグルトを選ぶ際、やはり「ヨーグルトの効果・効能」がもっもと気になるところですね。
ヨーグルトに整腸作用があることはよく知られていますが、アレルギー対策、免疫力強化、ピロリ菌に対する効果などを期待してヨーグルトを選んでいる方もたくさんいらっしゃることでしょう。
ヨーグルトを効果・効能から選ぶ
日本では薬機法(旧薬事法)により、現在のところ商品のパッケージに免疫力強化などの効果があると標榜しているヨーグルトはありません。
各メーカーのヨーグルトの公式ページなどにも「花粉症に効く」、「インフルエンザ対策」などの記述はありませんね。
売れ筋のヨーグルト、R-1乳酸菌を含むヨーグルトや乳酸菌LG21を含むヨーグルトにも具体的な効果の記載はありませんね。
いわゆる”健康食品”であるヨーグルトはその製品に含まれる善玉菌になんらかの研究成果があったとしても、基本的にはその効果をパッケージに書くことはできないのです。
そこで私達消費者はメーカーや研究機関から公表されている「善玉菌自体の研究成果」を参考にし、その菌の研究成果を基にプロバイオティクス菌入りのヨーグルト選ぶことになります。
免疫力強化や抗アレルギー作用を目的にプロバイオティクス・ヨーグルトを食べたとしても必ずしもその効果を実感できるとは限りません。
特定保健用食品や機能性表示食品のヨーグルトは具体的な効果の記載が可能
しかし、特定保健用食品や機能性表示が許可された機能性表示食品は「お腹の調子を整える」、「内臓脂肪を減らす」といった表示をすることができます。
特定保健用食品はその保健効果について科学的根拠がある上に消費者庁の個別審査を突破した製品であり、メーカーも相当コストを掛けて製品開発を行っています。
機能性表示食品制度は2015年4月に始まった制度で、しっかりとした科学的根拠があればそれをパッケージに記載しても良いといった内容の制度です。
これらの制度を利用したヨーグルトが近年どんどん登場してきています。
特定保健用食品のヨーグルトといえば、
- 乳酸菌を関与成分とする食品で最初に特定保健用食品となったLGG乳酸菌を含むおなかへGG!
- 正統派のプレーンヨーグルトである明治ブルガリアヨーグルト
- ビフィズス菌BB536株を含むビヒダス
- ビフィズス菌SP株およびガセリ菌SP株を含む恵 プレーンヨーグルト
- 一本に200億個もの乳酸菌シロタ株を含むヤクルト(発酵乳ではなく乳酸菌飲料ですが)
- 世界的に利用されるビフィズス菌Bb-12株を100gあたり40億個含む小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト
などが挙げられます。
機能性表示食品のヨーグルトといえば、
- 生きたまま腸に届くさらに腸で増殖も可能なビフィズス菌BifiXを100gあたり100億個含み、整腸作用の期待できる朝食ビフィックスヨーグルト
- ガセリ菌SP株を含み、内臓脂肪の低減が期待できる恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト(2018年にトクホになりました)
- おなかの不快感をやわらげるという作用をもつビフィズス菌BE80を含むダノンビオ
- ロイテリ菌を含み、歯茎の健康に良いOHAYO ロイテリ ヨーグルト
- 血圧高めの方にオススメのヨーグルト、ルナのむヨーグルト
- 植物性乳酸菌ラブレ菌が配合され、整腸作用が期待できるカゴメ ラブレ α
- 腸内環境改善作用をもつビフィズス菌HN019株を含む「ヤツレン シュッポッポのむヨーグルト」
などがあります。
善玉菌の効果
乳酸菌・ビフィズス菌などの善玉菌を効果ごとに分類しました。
菌の効果は『研究成果』であり、その菌を含む製品の効果・効能ではありません。
ヨーグルトの成分からヨーグルトを選ぶ
毎日食べるヨーグルト。私のように1日400〜500gというような比較的多い量を食べる人にとっては脂質や糖質が気になるところです。
ヘルシーであることを重要視するなら当然、無脂肪、低脂肪、加糖なしのヨーグルトを選びましょう。
プロバイオティクスの概念を着想したロシアのノーベル賞受賞者の微生物学者イリヤ・メチニコフ博士(1845−1916)も当時から無脂肪乳で作ったヨーグルトをオススメしていました。
脂肪少なめのヨーグルトはこちらにまとめました。
食物繊維の入ったフルーツやビフィズス菌のエサになるオリゴ糖をかけて食べると味的にも、腸内環境・腸内細菌的にも、より良いですね。→シンバイオティクス
オリゴ糖や食物繊維は消化されにくく、そのまま大腸まで到達してビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌のエサになります。
入手のしやすさ、商品の継続性、種類・費用
善玉菌はヒト由来の菌だとしても他人の菌が自分に永住してくれることは非常に難しいことがわかっています。
ということは、お目当ての菌が決まったら同じ菌(同じヨーグルト)を継続的に摂取しなければならないということになります。
そこで重要になるのが入手のしやすさ、商品の継続性やヨーグルトの価格です。
入手のしやすさ
アマゾンや楽天などネット通販でもヨーグルトを売っていますが、12コ入りだったり、24コ入りだったりするので一回注文したらヨーグルトで冷蔵庫がいっぱいになってしまいますね。
やはり、ヨーグルトは行きつけのスーパーやコンビニ、あるいはネットスーパーで手軽に買えるほうがいいです。
継続して購入し続けるにはそういった店で扱っている商品の中から選ぶのが良いかと思います。
わざわざヨーグルトのために遠くのお店まで行くのは大変ですからね。
行きつけのお店が意中のヨーグルトを取り扱ってない場合にはお店の方に入荷してもらえるよう頼んでみましょう。
商品の継続性
せっかくお気に入りのヨーグルトが見つかり、購入し続けているのにそのヨーグルトが生産中止になってしまうことがあります(結構あります)。
こういった場合、その善玉菌の他の入手方法(サプリメントタイプのものなど)を探さなければなりません。
このようなことを避けたい方は、最初から大手メーカーの主力商品のヨーグルトを選んでおくと良いでしょう。たとえば森永乳業のビヒダスやヤクルトが手に入らなくなることはきっとないでしょうから安心して続けられます。
ヨーグルトの種類・費用
1個100g前後の個食タイプのヨーグルトは機能性の高い善玉菌が入っていたり、果物や砂糖などをわざわざかけなくてもまるでスイーツのようにおいしいヨーグルトもあります。
しかし、私のように1日400〜500gヨーグルトを食べる人や家族みんながヨーグルトを食べ、大量に消費する家庭ではヨーグルトの値段はとても重要な問題になってきます。
安くヨーグルトを手に入れるには、①大型カップタイプ(400g〜)を買う②自家製ヨーグルトを作る、といった選択肢があります。
個食タイプヨーグルト
100g前後の食べきりサイズのヨーグルトは価格的には大型のものに比べて割高な気がしますが、スイーツと呼べるような嗜好性の高いものや「強さひきだす」、「胃で働く」などの特別な機能性を持っているものがあります。
他の容器に移したりするといったひと手間が必要ないことも個食タイプヨーグルトの利点です。ヨーグルトを容器に移し替えるなどといったことは些細なことですが毎日続ける上では重要な要素になることもあるでしょう。
個食タイプのヨーグルトはこちらにまとめました。
飲みきりタイプのヨーグルトはこちら(乳酸菌飲料も含む)にまとめました。
大型ヨーグルト・大型ドリンクタイプ
大型のヨーグルト(400〜500g)は100円代前半から買え、個食タイプ(100g前後)に比べてずいぶんと安いです。(なかには400円くらいするものもありますが)
安いからといって個食タイプと比較して機能性が必ずしも劣っているというわけではありません。
トクホを取得していたり、魅力的なビフィズス菌が入っていたりする大型カップタイプのヨーグルトもたくさんあります。
大型のヨーグルトはこちらに、大型のドリンクタイプはこちらにまとめました。
自家製ヨーグルト
ヨーグルトのなかで費用的にもっとも安いのが自家製ヨーグルトです。
ヨーグルトメーカーと牛乳と種菌があれば家庭でヨーグルトを作ることができます。
たとえばカスピ海ヨーグルトは種菌を”継いで”利用することができるので長い目で見ると非常に安い費用でヨーグルトを製造することができます。
しかしビフィズス菌などの酸素を嫌う菌は家庭で増殖させることは難しいので注意が必要です。→ビフィズス菌入りのヨーグルト
大概の市販のヨーグルトは種菌にしてヨーグルトメーカーでヨーグルトを作ることはできますが、たとえヨーグルトができた(発酵してpHが下がって牛乳がしっかりと凝固した)としても、意中のプロバイオティクス菌が増えているとは限らないのです。
当サイトにおけるヨーグルトアクセスランキング
ちなみに当サイトでアクセスの多いプロバイオティクス・ヨーグルトは次のようなものです。
数時間おきに自動的に更新されます。
-
セブンプレミアム プレーンヨーグルト ビフィズス菌LKM512配合 400g
生きたまま腸に届き増える -
マルエツ限定 おいしいヨーグルトプレーン 450g 生存型ビフィズス菌LKM512 脂肪ゼロ
生きたまま腸に届き増える -
トモエ乳業 北海道プレーンヨーグルト プロバイオティクス 脂肪0
生きたまま腸に届く -
森永乳業ビヒダスBB536 プレーンヨーグルト
生きたまま腸に届く -
ビヒダスBB536 プレーンヨーグルト脂肪0
生きたまま腸に届く
ヨーグルトを食べる量・食べるタイミング
長寿の多いカスピ海地方やブルガリアの方たちははヨーグルトを継続的に食べています。彼らはなんと毎日1Lものヨーグルトを食べているという話もあります。
さすがに日常的に1Lのヨーグルトを食べることは非常に難しいですね。
しかし毎日ヨーグルトを食べても量がが少なすぎればやはり効果はあまり期待できません。
1日に食べるヨーグルトの量
1日に食べるヨーグルトの推奨の量は商品や研究者の方によって違いはありますが、一般的には、
- ヨーグルトは1日最低100g程度、望ましいのは200g〜300g
- 善玉菌の数にすると少なくとも数十億個程度
といったところになります。
腸内フローラは100兆もの菌から構成されています。善玉菌に効果を期待するには継続的に”十分(adequate)”な菌の数を体内へ送り込む必要があるのです。
日本ではヨーグルトなどの発酵乳には1mlあたり1000万以上の菌が入っているものと法律で定められています。つまり100mlで10億ということになります。
ちなみに日本でもっとも手に入りやすく、もっとも正統な菌、正統な原材料で作っているであろう明治ブルガリアヨーグルトには100gあたり110億個以上の乳酸菌が入っています。
ヨーグルトをいつ食べればよいか?
ヨーグルトを摂取するタイミングには、
- 食後
- 空腹時
- 朝食時
- 寝る前
というようにいろいろな研究成果や説があります。
近年のグリコ社の研究では朝食時にヨーグルトを摂取すると便秘解消に効果的といったデータもあります。
外国のプロバイオティクス・サプリメントのなかには空腹時をオススメしているものもあるようです。
とても長い歴史と多くの実績があるプロバイオティクスである新ビオフェルミンSはpHのあがった「食後」としています。
その理由は、食前の空腹時にはpH1~1.5があるため多くの細菌は死んでしまいますが、食後には胃酸が薄まりpHががあがりビフィズス菌や乳酸菌の生存率があがるからです。
ヨーグルトも同じ理由で「食後がオススメ」と考えていいと思います。
つまり、ヨーグルトに含まれる善玉菌を1%でも高い生存率で腸まで到達させたいなら、
胃酸が薄まり胃の中のpHが4〜5にあがった「食後」
にヨーグルトを食べるのが良いでしょう。
とはいえ、実は善玉菌は必ずしも生きたまま腸に届かなくても効果を発揮するものもあることは100年以上の昔から判明しています。
近年では殺菌済みの菌体自体・あるいは菌の作り出した物質に有用な効果が確認されている菌も数多く存在します。(バイオジェニックス)
しかし、せっかくヨーグルトで生きた菌(プロバイオティクス)を摂取するのなら、できる限り多くの乳酸菌・ビフィズス菌などの善玉菌を生きたまま腸に届けたいものですね。
効果的なヨーグルトの摂取の仕方のまとめ
- 1日に食べるヨーグルトの量は100~300g程度が目安(研究者やヨーグルトの種類によってこの数字は違う場合があります。)
- 低脂肪・無脂肪タイプのほうがヘルシー
- ヨーグルトと併せて食物繊維やオリゴ糖などのプレバイオティクスを摂取するとさらに良い(プロバイオティクスとプレバイオティクスを併せて摂取することをシンバイオティクスと呼びます。)
- 菌の効果は菌の種類によって異なるので目的にあった菌を選ぶ必要がある
- 善玉菌の効果はマイルドなのでコツコツと継続的に摂取する必要がある
- ヨーグルトに含まれる菌が必ずしも生きたまま腸に届く必要はない場合がある(菌の種類によって異なります。)
- 含まれる乳酸菌・ビフィズス菌をより多く腸へと到達させたいなら、食べるタイミングは胃酸の薄まった食後。
このようなことに注意しながら、ご自身の体質や腸内フローラにあったヨーグルトを選び、コツコツと継続的に摂取しましょう。