インフルエンザを予防する方法といえば、
- インフルエンザ予防接種
- 手洗い・うがい
- マスク
- 十分な睡眠
- バランスのとれた食事
などになりますが、
近年、これらに加えて「インフルエンザにかからないためのヨーグルトを食べること」が加わりつつあります。
ヨーグルトは免疫力をあげる食べ物としてよく知られるようになりました。
「インフルエンザに効く食べ物といえば?」と問われれば、
「R-1乳酸菌を含むヨーグルト!」
と答える人も多いかと思います。
数年前、各メディアでR-1乳酸菌が小・中学生のインフルエンザの感染率を下げたという実験結果が報道され、R-1ヨーグルトは一躍人気製品になりました。
R-1ヨーグルトの生産能力が増強される前は、インフルエンザの流行する季節にはR-1ヨーグルトは入手困難になったこともありましたね。
インフルエンザに効果があると宣伝しているヨーグルトは存在しない
マウスやヒトを対象にした実験でインフルエンザへの感染率を下げたり、あるいは症状を緩和したといった研究成果のある乳酸菌・ビフィズス菌はいくつもあります。
しかし、そのような菌を含む製品もパッケージや公式サイトで「インフルエンザにかかりにくくなる!」などとは宣伝していません。
現状ではこのようなことを宣伝すると薬機法(旧薬事法)違反になって、お国からお咎めを受けなればならないからです。
ですので、どのメーカーでも「ヨーグルトの商品紹介ページ」と「菌の研究成果のページ」は別々になっています。
そんなわけで私達消費者はヨーグルトに含まれている菌の研究成果のページを見て、
「ふーん、この菌にはこんな研究成果があるんだ。じゃあ、この菌が入ってるヨーグルトを買ってみようかな」
といった具合に”インフルエンザに効くヨーグルト”を選ぶことになるのです。
善玉菌によるインフルエンザに対する効果・作用のメカニズム
ヨーグルトを食べるとなぜインフルエンザ対策になるのでしょうか?
ヨーグルトにはタンパク質が含まれています。良質なタンパク質やアミノ酸が免疫力を高めることはよく知られていますね。
もちろん、ヨーグルトの役割はタンパク質などの栄養補給だけにとどまりません。
ヨーグルトに含まれる善玉菌で免疫力アップ
インフルエンザ感染リスク低減
乳酸菌・ビフィズス菌などの善玉菌にはNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化するものが数多く見つかっています。
善玉菌によって活性化されたNK細胞(ナチュラルキラー細胞)などの免疫細胞がインフルエンザウイルスに感染した細胞を退治してくれれば、インフルエンザ感染症の発症するリスクを低減することができます。
※NK細胞は全身をパトロールし、司令官の役割をしている他の免疫細胞からの攻撃指示などを受けなくとも、がん細胞やウイルスや細菌に感染した細胞を見つけ攻撃することができます。
インフルエンザ感染症の症状を軽減
マウスなどの動物を使った実験ではインフルエンザに感染させたマウスの生存率の改善などの報告がある菌もあります。
善玉菌にはインフルエンザ予防だけでなく、インフルエンザにかかってしまったとしてもその症状が重篤になるリスクを減少させる効果も期待できます。
ヒトを対象にした実験でも「のどの痛み」や「せき」といった症状が軽減される効果が報告されている菌もあります。
IgA抗体濃度の増加させ、インフルエンザウイルスの侵入を阻止
唾液中のIgA抗体濃度を増加させる乳酸菌も見つかっています。
免疫の一種であるIgA抗体は粘膜面でウイルスや細菌を吸着し、インフルエンザウイルスの体内への侵入を防いでくれます。
R-1乳酸菌以外にもインフルエンザに有効な菌はあるのか?
インフルエンザ対策におすすめの市販されているヨーグルトといえばR-1乳酸菌入りのヨーグルトが定番となりつつありますが、もちろんR-1以外にもNK細胞などの免疫を活性化させたり、唾液中のIgA抗体濃度を高める働きを持つ菌が配合されたヨーグルトは存在します。
などもインフルエンザ対策において注目すべき乳酸菌です。
免疫力を上げる作用をもつ善玉菌はこちら(免疫力強化作用のある善玉菌)にまとめてあります。しかし、そのような菌はたくさんあるので、どれがいいか選ぶのはちょっと大変ですよね。
そこで、当サイトではそのような菌の中でも特にインフルエンザ感染症に関する研究成果のある菌も整理してあります。
インフルエンザに感染したときにヨーグルトを食べても良いのか?
インフルエンザのときにヨーグルトを食べて良いのか不安になる方もいらっしゃるようです。
R-1乳酸菌やラブレ菌は日本で小学生を対象にした比較的規模の多い実験をしていますが、実験結果には「インフルエンザにかかった場合には摂取をやめた」といったような記述はもちろん見当たりません。
インフルエンザにかかっているときに適切な量のヨーグルトを食べることは特に問題ないはずです。
インフルエンザ予防のための効果的なヨーグルトの量・食べ方
整腸作用に関しては、ヨーグルトを食べた次の日にはその効果を”トイレで実感"できることも多いですが、免疫調整や免疫力強化に関してはそうはいきません。
各メーカーや研究機関の実験では被験者に、
- 1日あたりヨーグルトを100g程度
- 菌数にすると数十億個以上
- 8~12週間の期間
摂取してもらって、その効果を検証しているもとが多いようです。
免疫力を活性化させインフルエンザ予防効果を得るには数週間にわたって、毎日毎日、乳酸菌・ビフィズス菌入りのヨーグルトを摂取し続けることが重要です。
そのためにも手に入りやすく・続けやすい、おいしいヨーグルトを選びましょう。
インフルエンザ感染症に効果のある”かもしれない”ヨーグルト
『ヨーグルトで免疫細胞を活性化してインフルエンザ対策したい!』という方のために、インフルエンザ感染症に関する研究成果のある菌ごとに、これまでに当サイトでレビューしたヨーグルト・乳酸菌飲料に製品の種類に絞ってまとめてみました。
菌の効果は研究成果であり、菌を含む製品の効果・効能ではありません。
※医薬品、医薬部外品、特定保健用食品などの一部の製品には善玉菌による整腸作用などの保健効果がある製品があります。
キリンと小岩井によって発見された菌。善玉菌の中で唯一「プラズマサイトイド樹状細胞」を活性化でき、哺乳類の免疫力を総合的に強化することを期待できる。2012年デビュー。
ナチュラルキラー細胞を活性化させる多糖体(EPS)を産生する菌。佐賀県有田町の実験で小学生のインフルエンザ感染率を下げた研究成果によって一躍有名になった。
森永乳業が開発したビフィズス菌。多くの効果が確認され、世界30カ国以上に輸出される信頼・安心のビフィズス菌。
家森博士が長寿の多いコーカサス地方から持ち帰ったカスピ海ヨーグルトを作り出す菌。様々な効果が確認されている。家庭でも培養できる。
植物由来の乳酸菌の代名詞的な菌。生きたまま腸に届き、免疫力強化、インフルエンザ予防なども期待できる。整腸作用から機能性表示食品の関与成分にもなった
ヤクルトが世界に誇る乳酸菌。長い歴史を持つ。整腸作用以外にも様々な効果が確認されている。もちろん特定保健用食品の関与成分になっている。
世界50カ国以上で利用される菌。腸管への付着性が強いのが特徴。免疫調整機能など多くの効果が確認されている。乳酸菌のトクホの歴史はこの菌から始まった。
摂取後90日後にも検出されるというデータもある、定着性の非常に高い菌。もっとも定着性の高いプロバイオティクスといってもよいかもしれない。内臓脂肪低減作用も期待できる。トクホ・機能性表示食品の関与成分になっている。
タカナシ乳業によって発見された乳酸菌。ヒト由来。免疫調整機能や免疫力強化作用が期待される。
森永乳業が開発したバイオジェニックス(加熱殺菌済み菌体)。インフルエンザ症状軽減作用や呼吸器や腸管での感染防御作用が期待される。