シールド乳酸菌 M-1(モラック乳酸菌)

森永乳業はビフィズス菌BB536株などの「生菌」を開発してきたましたが、同社として初の加熱殺菌済みで用いる乳酸菌MCC1849株を開発しました。

2007年に発見され、7年の歳月をかけて製品化されたのとのことです。

ヒト由来(ヒトから発見された)の乳酸菌です。

2016年初頭ごろから知名度が上がりはじめ、2016年9月に発売された森永製菓の『たべるマスク(現・たべるシールド乳酸菌タブレット)』で一気にブレークした感じがします。

殺菌済みゆえに品質が安定

殺菌済みの菌のメリットはお菓子などの様々な食品に添加することができたり、生菌に比べて品質が安定しているといったことが挙げられます。

シールド乳酸菌M-1は再加熱しても問題ないようで、味噌汁やコーヒーに添加されたりもします。

シールド乳酸菌 M-1の1日あたりの摂取目安量は100億個です。摂取目安量が公表されている乳酸菌は珍しいといえます。

加熱殺菌済みで用いられる菌はプロバイオティクス(生きた菌による良い効果)ではなく、バイオジェニックスと呼ばれることもあります。

シールド乳酸菌はバイオジェニックスの利点を活かした菌であり、非常に多くの種類の製品に用いられています。

  • ヨーグルト
  • ドリンク
  • 味噌汁
  • コーヒー(エクセルシオール)
  • ドレッシング
  • 豆腐
  • お菓子(キャンディ、キャラメル、タブレットなど)
  • 納豆のタレ
  • 惣菜
  • 飲み屋さんのポテトサラダなど(養老乃瀧)

何に添加してもよしですね。

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スーパーのお惣菜にもシールド乳酸菌

摂取するタイミングも気にしなくてよさそう

プロバイオティクス(生きた菌による良い効果)を摂取する場合には腸まで届く菌の生存率をあげるため、一般的に食後の胃酸の薄まったタイミングに食べるのがが良いとされています。

しかしながらシールド乳酸菌のように殺菌済みの菌として用いられるバイオジェニックス乳酸菌は菌の生死が重要ではないため、摂取するタイミングはあまり重要ではなさそうです。

菌の生死を気にする必要がないということは、その製品の賞味期限的にも(生菌の場合、菌はどんどん死んでいってしまうため)、あるいは摂取するタイミング的にも大きなメリットになりますね。

シールド乳酸菌の名前の由来

ラクトバチルス・パラカゼイ・MCC1849株は現在ではシールド乳酸菌、かつては「モラック(Molac)乳酸菌」または「シールド乳酸菌M-1」と呼ばれていたこともありました。

これらの名前の由来は次のようなものです。

  • シールド乳酸菌の名前は盾(シールド)のように外部からの敵を防御することをイメージして名付けられました。
  • モラック(Molac)乳酸菌は森永乳業の森永とLactobacillus(MCC1849株が属する種類の乳酸菌)の頭文字をとって名付けられました。
    Morinaga + Lactobacilus → MoLac

今後は「シールド乳酸菌」という名前で統一していくものと思われます。

シールド乳酸菌M-1の効果

シールド乳酸菌M-1はインターロイキン12の産生を誘導する能力が高いことが特徴です。

マウスのインフルエンザの症状を抑制したことや、腸管での抗原特異的IgA抗体の産生が促進されたことからシールド乳酸菌M-1には呼吸器や腸管で感染防御作用が期待されます。

NK細胞を活性化

小腸に到達したシールド乳酸菌がパイエル板を通じて、免疫細胞を活性化し、インターロイキン12を分泌、その結果NK細胞(ナチュラルキラー細胞)が活性化すると考えられています。

(※NK細胞は全身をパトロールし、司令官の役割をしている他の免疫細胞からの攻撃指示などを受けなくとも、がん細胞やウイルスや細菌に感染した細胞を見つけ攻撃することができます。)

インフルエンザのウイルス量減少・症状抑制

マウスに加熱殺菌したシールド乳酸菌M-1を2週間投与したあと、インフルエンザに感染させ、感染による症状や肺ウイルス濃度を観察しました。

その結果、シールド乳酸菌M-1を与えたマウスは、整理食塩水を与えたグループと比べて、インフルエンザの症状が軽減され、肺ウイルス濃度も減少しました。

呼吸器や腸管での感染防御作用

腸管に病原菌が侵入すると、病原菌に結合する特異的な IgA抗体が分泌されます。そこで、シールド乳酸菌M-1の摂取がコレラ毒素で誘導される抗原特異的なIgA産生に及ぼす影響を調べました。

マウスに加熱殺菌済みのシールド乳酸菌M-1を含む飼料、2週間投与した後、抗原としてオボアルブミン(OVA)とコレラ毒素を1週間毎に3回経口投与し、抗原特異的なIgAの量を測定しました。

その結果、IgAを摂取したマウスは、摂取しなかったマウスに比べて腸管の小腸組織、小腸内容物、血中や肺組織において抗原特異的IgA量とともに総IgA量が増加しました。

風邪の自覚症状に対する影響

12週間の摂取期間中に風邪の自覚症状があった人の割合は、解析対象集団全体をみると、シールド乳酸菌を100億個を摂取したグループ・300億個を摂取したグループでは、シールド乳酸菌を摂取しなかったグループと比べやや低値を示しましたが、グループ間での有意差はみられませんでした。

一方、過去1年間に風邪の自覚症状が1回以上あった集団を対象に解析したところ、風邪の自覚症状があった人の割合および症状の発現日数・症状スコアはいずれもシールド乳酸菌を摂取しなかったグループと比べ、100億個摂取したグループで有意に低値となり、300億個摂取したグループにおいても有意差はみられませんが低値を示しました。

気分状態に対する影響

気分プロフィール検査の結果、摂取開始6週目、12週目においてシールド乳酸菌を摂取しなかったグループでは、摂取前とくらべてポジティブな気分状態の指標である、

  • 友好(Friendliness)※他人に対して信頼感や思いやりのある前向きな気分
  • 活気-活力(Vigor-Activity)※いきいきして活動的な気分、やる気に満ちた前向きな気分

のスコアが低下しました。(医療現場や教育・福祉などの分野で行われる心理検査POM2短縮版)

この理由として、摂取期間と同時期に行われた学力試験による精神的ストレスが対象者の心理状態に影響した可能性が考えられました。

一方、シールド乳酸菌を100億個摂取したグループでは「友好」、「活気-活力」の低下が有意に改善し、300億個摂取したグループでも「友好」が高値を示しました。

菌概要

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菌の効果は研究成果であり、菌を含む製品の効果・効能ではありません。

※医薬品、医薬部外品、特定保健用食品などの一部の製品には善玉菌による整腸作用などの保健効果がある製品があります。