ヤクルトとピルクルの比較

味や風味色合いなど、多くの点でとても似た商品であるヤクルトとピルクルの違いを比較・検証してみました。

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それぞれの開発経緯・沿革

ヤクルト開発経緯

後のヤクルト社の創始者である京都帝国大学の代田稔(しろた みのる)博士は、抗生物質もなくチフスなどの感染症で命を落とす子どもたちを助けようと乳酸菌の研究をしていました。

そして1930年、胃液や胆汁などの消化液にも負けず生きたまま腸に届き悪い菌を減らす「人腸乳酸菌」の強化培養に成功し、その5年後の1935年「ヤクルト」を商品化しました。

ヤクルトの名前の由来

ヤクルトはエスペラント語でヨーグルトを意味するヤフルト(jahurto)という言葉を言いやすいように変更考案した造語です。

「ヨーグルト」を思い切り広い意味で捉えればヤクルトは「飲むヨーグルト」と言えるのかしれませんね。

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ピルクル開発経緯

ピルクルの誕生秘話によると、

初めて乳酸菌飲料を飲んだ時、その独特の酸っぱさに両頬がきゅっとなる刺激がたまらなく、「こんなにおいしい飲み物があったのか」と感動をしたのを覚えています。

ピルクルは「思い切りゴクゴク飲める乳酸菌飲料」として開発がはじまったそうです。

確かにヤクルトはゴクゴク飲むにはやや値段が高いように感じますね。(Newヤクルトは一本65ml税抜き40円、ピルクルはその半分以下の価格)

ピルクルの名前の由来

ピルクルの名前は1620年に英国から自由を求めてメイフラワー号でアメリカ大陸に渡った人たち「ピルグリム・ファーザーズ・クルー(Pilgrim Fathers Crew)」を略して付けられたものです。

ピルクルをアルファベットで表記する際には名前の由来からは「pilcrew」のような気もしますが、日清ヨークのウェブサイトを見る限りでは「pilkul」になっています。

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ヤクルト・ピルクル開発経緯まとめ
  ヤクルト ピルクル
メーカー ヤクルト 日清ヨーク
菌の発見 1930年(代田博士が発見) 1993年
製品化 1935年 1993年
製品開発の動機 一人でも多くの人に健康になってもらいたい 乳酸菌飲料をゴクゴク飲みたい
名前の由来 エスペラント語でヨーグルトを表す語・ヤフルト(jahurto)に由来する造語 ピルグリム・ファーザーズ・クルーの略

ヤクルト、ピルクルの味・風味の違い

ヤクルト・ピルクル、色合いも風味もとてもよく似ています。

比較する際に目をつぶって飲んでみましたが、両者を判別することは非常に難しかったです。

私の舌ごときでは、ヤクルトの容器にピルクルを入れて出されてら「ヤクルトだ!」と思い、ピルクルの容器にヤクルトを入れて出されたら「ピルクルだ!」思ってしまうはずです。

ヤクルト・ピルクルの味
  ヤクルト ピルクル
味・風味

独自の甘酸っぱさをもつ

”ヤクルトの味”

非常にヤクルトに似た味

この味(Newヤクルトの味)を甘すぎると感じる方も少なくないようです。

両製品にはいつくかの派生商品がありますが、それらは甘さ控えめのものばかりですね。

ヤクルトは商品のバリエーションが多いことに対し、ピルクルは期間限定商品が多いことが特徴です。

ピルクルは期間限定の様々なテイストを楽しむことができますね。

ヤクルト、ピルクルの原材料・製造方法

どちらも粉ミルクを原料として長時間かけて乳酸発酵させたものをシロップと混ぜあわせたもののようです。

ヤクルト・ピルクルの65mlあたりの成分比較
  ヤクルト ピルクル
カロリー 50kcl 44kcal
炭水化物 11.5g 9.8g
タンパク質 0.8g 0.8g
脂質 0.1g 0.1g
ナトリウム 12mg 5〜28mg

ヤクルトもピルクルも脂肪分はほとんどゼロといってよさそうです。(栄養表示基準的に)

500ml、1Lの内容量のものあるピルクルですが、ピルクルの一日の摂取目安量は65mlとなっています。

飲み過ぎには気をつけましょう。

ヤクルト、ピルクルの効果・効能の違い

非常に似た風味をもつ両者ですが、同様にその製品の効果も似ています。

いずれの製品にも腸内のビフィズス菌などの善玉菌を増やして、腸内環境を改善する機能があります。

便秘の方にもオススメです。

ヤクルトの効果

特定保健用食品の許可表示:

生きたまま腸内に到達する乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)の働きで、良い菌を増やし悪い菌を減らして、腸内の環境を改善し、おなかの調子を整えます。

「生きたまま腸に届く」ということは「糞便から生きたシロタ株が検出される」ということです。

特定保健用食品のNewヤクルトに含まれるシロタ株には次のような効果が期待できるとされています。

  • シロタ株が乳酸を産生することによって腸内環境を酸性に傾け、悪玉菌を抑制する作用
  • 腸の運動を高めて便性を改善する
  • 菌体の表面に有害物質を吸着する作用
  • 便の質の改善
  • 悪玉菌抑制によって有害物質の産生を抑制し、腸内腐敗を防ぐ作用
  • 免疫力を維持し体の抵抗力を強める作用

ピルクルの効果

特定保健用食品の許可表示:

カゼイ菌 (NY1301株) の働きにより、腸内の環境を改善し、おなかの調子を良好に保ちますので、毎日のおなかの健康が気になる方に適した飲料です。

ピルクルに含まれるNY1301株は人口消化液及び胆汁に耐性を示し、生きて腸まで届くことが期待されます。

ビフィズス菌の増殖を促進し、腸内フローラを改善することによって、整腸作用をもたらします。

 

ヤクルト・ピルクルが持つ機能性
  ヤクルト ピルクル
機能性
  • 生きたまま届いたシロタ株が乳酸を産生することによって腸内環境を酸性に傾け、悪玉菌を抑制する作用
  • 腸の運動を高めて便性を改善する
  • 菌体の表面に有害物質を吸着する作用
  • 便の質の改善
  • 悪玉菌抑制によって有害物質の産生を抑制し、腸内腐敗を防ぐ作用
  • 免疫力を維持し体の抵抗力を強める作用

ヤクルトにはこのような効果から整腸作用が期待できます。

ビフィズス菌の増殖を促進し、腸内フローラを改善することによる整腸作用
分類 特定保健用食品 特定保健用食品
トクホの許可年月日 1998年5月20日 2001年12月19日

いずれの製品も消費者庁の審査を受けた信頼できるものとなっています。

似たような味や形状の類似品はいつくつかありますが、やはりトクホであることが他製品との決定的な違いですね。

ヤクルト・ピルクルの両製品は堂々と便秘や下痢の方にもオススメできるのです。

カルピスやマミーなどのトクホではない乳酸菌を含む飲み物よりも、ヤクルト・ピルクルは健康食品としての度合いがより強いのです。

含まれるプロバイオティクス菌の比較

ヤクルトにはラクトバチルス・カゼイ・シロタ株、ピルクルにはラクトバチルス・カゼイ・NY1301株が含まれています。

先述のように、どちらの菌も「おなかの調子を整える」という保健機能から特定保健用食品(トクホ)の関与成分となっています。

いずれの菌に整腸作用があるということは消費者庁のお墨付きということになります。

とはいっても整腸作用をもった発酵食品(特定保健用食品や機能性表示食品の商品)はザラにあるので、整腸作用以外の「効果」が気になるところですね。

次に挙げるものはあくまで菌の研究成果であって商品自体の効果ではありませんが、ヤクルトに含まれるシロタ株には次のような効果が確認されています。(整腸作用に関しては消費者庁のお墨付き)

腸内環境改善(整腸作用)

シロタ株を1日100億個以上、4週間にわたって摂取したところ、腸内のビフィズス菌(善玉菌)が3倍に増えた一方、大腸菌は5分の1まで減りました。

ソフール(シロタ株10億個以上入りのヨーグルト)が「おなかの調子をととのえる」特定保健用食品になっていることから、シロタ株は10億個程度でも「整腸作用」を期待することができると思われます。

便秘・下痢の改善

便秘を訴えるヒト25名、下痢を訴えるヒト22名を対象に、乳酸菌シロタ株を100億/g含有する乳酸菌製剤を一日3g投与しました (投与期間は便秘のヒトへ6~19日間、下痢のヒトへは3~20日間) 。

その結果、便秘に対しては、有効率92%で改善 (排便回数の正常化、便性状の改善、腹部膨満感の軽減) が認められました。

同様に、下痢に対しては、有効率91%で改善 (排便回数の正常化、便性状の改善、腹痛の軽減) が認められました。

以上の結果は、乳酸菌シロタ株の摂取により便性の改善 (下痢、便秘、腹部症状の改善) が発揮されることを示していると考えられます。

腸内有害産生物質の抑制

研究1:

25~32歳の健康な成人5名に乳酸菌シロタ株を1日100億個のシロタ株を摂取してもらい、腸内菌叢の変化と尿中インジカン(アミノ酸の一種・トリプトファンの代謝物)、フェノール類(腸内腐敗によって発生する物質)の排泄量の変化を調べました。

その結果、乳酸菌シロタ株が1000万~1億/便 gレベルで回収され、投与期間中最優勢な乳酸桿菌フローラとして検出され、投与中止後、1週間以内に消失しました。

また、シロタ株の摂取によって糞便に見つかるビフィズス菌数の上昇と日間変動の減少が認められました。

さらに、尿中インジカンとフェノール量が減少しました。

これらの結果は、乳酸菌シロタ株の摂取により、腸内フローラの改善ならびに腸内有害性産物の抑制が発揮されることを示していると考えられます  。

研究2:

22~35歳の健康な成人20名を10名ずつの2グループに分け、一方のグループには乳酸菌シロタ株を600億個含含む発酵乳を、他方には同量の未発酵乳を、一日3 本、4週間飲用してもらいました。

(飲料以外の食事は、被験者全員、試験期間中は同一内容としました。)

試験期飲用の前後に非飲用期を2週間ずつ設け、飲用前 (2週目) 、飲用中 (4週目) 、飲用後 (6週目) の3回、糞便と血液を採取しました。

その結果、乳酸菌シロタ株を含有する発酵乳の摂取により、糞便中の乳酸桿菌が増加し、乳酸菌シロタ株が最優勢な乳酸桿菌フローラとして検出されました。

糞便中のビフィズス菌が増加し、大腸菌群が減少しました。

また、糞便中のβ-グルクロニダーゼ、β-グルコシダーゼが減少し、糞便中 のコレステロール濃度が低下傾向を示しました。

これらの結果は、乳酸菌シロタ株の摂取により、腸内菌叢の改善ならびに腸内有害性産物の抑制が発揮されることを示していると考えられます。

ストレス軽減

シロタ株を1000億個含むヤクルト1000の継続飲用により、一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレスをやわらげる機能が確認されています。

  • 唾液中のコルチゾール濃度(ストレスを受けたときに増えるホルモン物質)の上昇が抑制されました。
  • ストレス体感が抑制されました。

睡眠の質の向上

シロタ株を1000億個含むヤクルト1000の継続飲用により、一時的な精神的ストレスがかかる状況での睡眠の質を高める機能が確認されています。

  • 熟眠時間と熟眠度が増加しました。
  • 起床時の眠気を示すスコアで改善が認められました。

腸管バリア機能の強化

2型糖尿病患者を、シロタ株を400億個を含むプロバイオティクス飲料を継続して摂取するグループと、摂取しないグループに無作為に分け、16週間の経過観察を行った実験では、

シロタ株を摂取したブループの便中の「ラクトバチルス カゼイ」、「クロストリジウム コッコイデス」といった有用菌が有意に増加し、さらには腸内から血液中に移行した菌数が有意に低下しました。

シロタ株の継続摂取が、2型糖尿病患者の腸内フローラに変化を与え、腸内細菌の血中への漏れ出しを抑制することが明らかになりました。

小児急性下痢予防

インドで1~5歳の3758名の小児を対象にした実験ではシロタ株を飲んだグループは、飲まなかったグループに比べて下痢発症率が14%低減しました。

NK細胞強化(免疫力強化)

乳酸菌シロタ株はマクロファージにインターロイキン12を作らせる作用の強い菌です。

インターロイキン12によってNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が刺激され、免疫力が高まります。

ナチュラルキラー細胞はウイルスや細菌に感染した細胞や、がん細胞を退治する、とても重要な免疫細胞です。

喫煙者に対する免疫力強化作用

NK活性が下がりやすい喫煙習慣のあるヒトがシロタ株を摂取し続けると、66%(50人中33人)のヒトのNK活性が回復しました。

高齢者に対する免疫力強化作用

高齢者10人(69〜97歳)にシロタ株発酵乳製品を昼食後に1本、3週間飲んでもらった実験では、

シロタ株発酵乳製品を飲んだ人たちのほとんどはNKを活性化高くなり、NK活性が低い人には活性化を上昇させ、高い人に対しては活性を維持する効果が確認されました。

一方、シロタ株発行乳製品を飲まなかった人たちのほとんどはNK活性が低下しました。NK活性が低下した原因としては、被験者は試験期間中病院に滞在しなければならず、そのことがストレスとなり、NK活性の低下したと考えられます。

風邪の予防

シロタ株を含む乳酸菌飲料の継続飲用が激しい運動を行うスポーツ選手の上気道感染症(いわゆる風邪)の発症リスクを低減することがわかりました。

その効果の一つはIgA抗体量が良好な状態に保たれたことに起因すると考えられます。

インフルエンザ感染症対策

マウスにシロタ株を経鼻投与すると鼻腔内のインフルエンザウイルスの減少および生存率の有為な増加が確認されました。

シロタ株の投与により、呼吸器粘膜免疫組織の一つである縦隔リンパ組織のインターロイキン12およびインターフェロンγ産生が増加したことから、呼吸器粘膜の自然免疫の増強がインフルエンザ感染を防御したと推測されています。

また、老齢マウスにシロタ株を経口投与し、呼吸器粘膜増強作用およびインフルエンザ感染防御作用を調べました。

その結果、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性化および鼻咽頭関連免疫細胞の活性化が認められ、鼻腔内のインフルエンザウイルス数の減少が見られました。

インフルA型ウイルスに強い効き目

加熱処理したシロタ株DK128型を鼻の中に投与したマウスに対し、致死量のインフルエンザA型ウイルスを感染させたところ、DK128型を投与しなかったマウスは感染後8日~9日までに体重が減少し、すべて死亡したのに対し、シロタ株を与えたマウスは1匹も死亡しませんでした。

さらに、A型ウイルスの亜型である「A香港型(H3N2亜型)」と「Aソ連型(H1N1亜型)」も感染させましたが、すべて生き延びました。

抗変異原性

焼き肉や魚の「お焦げ」を食べると変異原性(=遺伝情報に異常を起こしてガンの原因などになる物質)が上昇しますが、

シロタ株を含む発酵乳は焼き肉摂取による健康成人の尿の中の変異原性物質の上昇を抑制しました。

大腸ガン予防

普通のヒトに比べて4〜7倍も大腸ガンになりやすいという、大腸腫瘍(腺腫あるいは早期がん)が2個以上見つかった40〜65歳まで男女398人 (試験開始時までにそれらすべてを摘除・完治)に協力してもらい、次の4つのグループにわけて実験を行いました。うち380人が試験を完遂しました。

  • Aグループ:
    食事指導+小麦ふすまビスケット(99人)
  • Bグループ:
    食事指導+Lカゼイ・シロタ株(99人)
  • Cグループ:
    食事指導+小麦ふすまビスケット+L.カゼイ・シロタ株(103人)
  • Dグループ:
    食事指導(97人)

実験の結果、L.カゼイ・シロタ株を投与したグループでは、腺腫発生が投与しないグループに比べて若干少なくなりました。

また、この試験では発生した菌種の異型度(正常細胞と比べてどれだけ形状が異なっているかを示す指標。軽度異型、中等度異型、高度異型の3段階があり、異型度が高くなるとガンに近づく)についても調べています。

中等度以上の異型度を持った腺腫の発生を調べたところ、L.カゼイシロタ株を投与したヒトの相対危険度は2年目20%のリスク低減、4年目では35%のリスク低減することが確認されました。

乳ガン予防

日本国内の医療機関から(1)40〜55歳の女性(2)初期ガンで術後1年以内の306名を選定しました。また、これらの人たちと年齢や居住地域が似通った健康な662名を対照群としました。

両方のグループに小学校高学年や20歳頃、10〜15年前それぞれにおける発酵乳や大豆(味噌汁、豆腐、納豆を含む6品目)の摂取状況について聞き取り調査をしました。

また、食生活(アルコール摂取状況を含む)、運動、病歴、家族病歴などについては各自調査票に記入してもらいました。

シロタ株を週4回以上摂取していた人の割合は、前者グループでは11.1%、後者グループでは16.2%でした。オッズ比を求めたところ、シロタ株を含む乳製品の摂取頻度が週4回以上では0.65となり、

シロタ株を含む乳製品の習慣的な摂取が乳がん発症リスクを35%低減する結果となりました。

また、大豆イソフラボンの摂取量が多いほど乳がんの発症リスクが低下することがわかりました。

シロタ株と大豆イソフラボンの両方を摂取することによって、さらに乳がんの発症リスクを下げることができると考えられます。

乳がんリスクを低減させるシロタ株の作用メカニズム

  • 腸内環境を改善させ、悪玉菌を減少させて有害物質の生成を減少させる効果
  • 腸内の発がん物質を吸着して、排出させる効果(抗変異原性)
  • がん細胞を退治するNK細胞の活性化
  • がん細胞の増殖を促す物質の産生を抑える効果

などが関わっていると考えられます。

膀胱がんの予防

内視鏡を漬かって表在性膀胱がんを切除した125名を次のようにグループわけして、実験を行いました。

サブグループA:初発でかつ多発がん

  • シロタ株生菌製服用剤を飲んだグループ
  • シロタ株生菌製服用剤を飲まなかったグループ

サブグループB:再発しかつ単発がん

  • シロタ株生菌製服用剤を飲んだグループ
  • シロタ株生菌製服用剤を飲まなかったグループ

サブグループC:再発し、かつ他発がん

  • シロタ株生菌製服用剤を飲んだグループ
  • シロタ株生菌製服用剤を飲まなかったグループ

膀胱がんの再発を調べていく中でグループCでは多くの人に再発が認められました。

そのためグループCを除いて、シロタ株の効果を調べました。

その結果、シロタ株を飲んだグループの1年後の再発率は20.8%、飲まなかったグループの再発率は45.1%となり、乳酸菌シロタ株の表在性膀胱がんの再発抑制効果があることが確認されました。

また、試験中に表在性膀胱がんが再発した人の中で、試験前に切除したものとがんの悪性度を比較しました。(悪性度が高くなるほど治療しにくく、転移や再発しやすくなります。)

  シロタ株服用グループ プラセボ服用群
悪化 1名 7名
変化なし 20名 22名
改善

10名

2名

シロタ株には再発ガンの悪性度進展を抑える効果があることが明らかとなりました。

アレルギー症状軽減

免疫細胞のTh1細胞とTh2細胞のバランスが崩れ、Th2細胞が過剰に多くなったときにアレルギー症状を発症することがあります。

シロタ株はTh1細胞を活性化し、Th1細胞とTh2細胞のバランスを整える働きがあります。

花粉症に対する効果

日本とイギリスで行われた花粉症のヒトを対象にした実験ではシロタ株が花粉症に有効であることが示されました。

O-157の増殖を防ぐ

動物を使った実験ではシロタ株を摂取すると腸管に定着する0-157が約100分の1にまで減少しました。

またO-157が生成するベロ毒素の濃度も大幅に減少しました。

ノロウイルス感染性胃腸炎の症状軽減

長期滞在型の高齢者向けの保健施設で、77人の高齢者(平均84歳)を対象に1ヶ月間実験が行われました。

シロタ株を飲んだグループと飲まなかったグループにはノロウイルス胃腸炎の発生率に関しては有意な差はありませんでしたが、ノロウイルス胃腸炎による37度を超える平均発熱期間はシロタ株を飲んだグループのほうが短くなりました。

シロタ株を飲んだグループはシロタ株の飲用によってビフィズス菌とラクトバチルスの両方が有意に優勢になり、腸内フローラの不均衡が是正されることによってノロウイルス胃腸炎の発熱の軽減に寄与したと考えられます。

また感染性胃腸炎に関連するおう吐物による誤嚥性肺炎などの合併症抑制にも有効であると期待されます。

血圧降下作用

シロタ株の加熱抽出された細胞壁多糖画分(多糖-ペプチドグリカン複合体)には血圧降下作用があることが確認されていました。

さらに65歳以上から93再の高齢者352名(男性125名、女性227名)を対象にした実験で、シロタ株を含む乳製品の週3回以上の習慣的摂取は高齢者の高血圧発症リスクの低下に繋がることが示唆されました。

抗炎症作用

シロタ株の産生する多糖体(EPS)には抗炎症作用があります。

ピロリ菌のマウスへの定着性や試験官の中での増殖を減少

シロタ株はピロリ菌に感染させたマウスへのピロリ菌の定着能を減少させます。

in vitro(=試験官の中)での実験ではシロタ株はピロリ菌の増殖を抑制しました。

シロタ株にもピロリ菌に感染したヒトへの効果もあるかもしれませんが、ピロリ菌対策にはピロリ菌を抑制する研究成果が豊富な菌のほうがよいかもしれませんね。

同じヤクルト社の保有する菌ではビフィズス菌B.ビフィダム Y株にピロリ菌抑制に関する研究があります。

ピロリ菌を抑制する菌一覧はこちら→

さすがにヤクルト社の主力のプロバイオティクスだけあってか、乳酸菌シロタ株には非常に多くの研究成果が報告されています。

CMなどでは「生きたまま腸に届く」に届くことが強調されていることもありますが、研究成果を見てみるとシロタ株は死んでしまった菌や殺菌済みの菌であっても良い効果が期待できそうです。

このような微生物の菌体自体や作り出した物質による良い効果はバイオジェニックスと呼ばれることもあります。

シロタ株はプロバイオティクスおよびバイオジェニックス的な要素を兼ね備えた非常に優れた乳酸菌であるといえますね。

一方、ピルクルに含まれるNY1301株には整腸作用以外の研究成果は公表されていないようです。

ヤクルト・ピルクルに含まれる菌の比較
菌の種類 ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株 ラクトバチルス・カゼイ・NY1301株
菌の由来 人由来(人から見つかった) -
菌の強さ 生きたまま腸に到達する 生きたまま腸に到達する
利用・研究されている
地域・場所
世界の様々な地域・国際宇宙ステーション 日本のみ?
菌に期待される効果
  • 便秘・下痢の改善(整腸作用)
  • ストレス軽減
  • 睡眠の質の向上
  • 腸管バリア機能の強化
  • NK細胞活性化(免疫力強化)
  • 風邪予防
  • インフルエンザ対策
  • アレルギー症状改善
  • 花粉症対策
  • 抗変異原性(=遺伝情報に異常を起こしてガンの原因などになる物質を減少させる効果)
  • 大腸ガンの予防
  • 乳がんの予防
  • 膀胱がんの予防
  • 高齢者の高血圧発症リスクの低下
  • 病原性大腸菌0-157対策
  • ノロウイルス感染性胃腸炎症状軽減(発熱日数の減少)

生きたまま腸に届いたNY1301株が乳酸を産生し、腸内環境を酸性に傾けて、 善玉菌(ビフィズス菌)を増やして悪玉菌を抑制し、腸内環境を改善することによって整腸作用がもたらされる

ヤクルト・ピルクルの「菌の研究成果」を比較するとヤクルトに軍配が上がります。

ヤクルトのほうがピルクルよりも価格が高い理由

味・色合い・トクホを取得している点など多くの点で非常に似ていますが、両者の間にはずいぶんと価格差があります。

ヤクルトの価格が高い(=プレミアムであるという)理由を考えてみると、

  • 善玉菌の数がピルクル65mlあたり150億個、ヤクルト65mlあたり200億個と、ヤクルトが大きく上回っていること
  • ヤクルトに含まれるシロタ株は長い歴史・高い知名度・多くの研究成果・多くの実績があること
  • 65mlタイプの比較ではヤクルトにはストローが付属すること

このようなことが考えられると思います。

ヤクルト、ピルクルの価格

Newヤクルトは一本40円(税抜き)です。

他のヤクルトの派生商品も40円~110円の価格設定で、ピルクルに比べると高めになっています。

一方、ピルクルは、

  • ピルクルおよびピルクルLightなどの65mlタイプが1本10円台(10本で100円台半ば~200円程度)
  • 500mlタイプが100円台前半
  • 1Lタイプが100円後半~200円程度

といった感じですね。ヤクルトに比べるとかなり割安感があります。

ピルクルは乳酸菌を関与成分として特定保健用食品になっている製品の中でも最高にリーズナブルな製品ではないでしょうか。

1日あたり10円台(あるいはそれ以下で)で摂取目安量の65mlを摂取することが可能です。

ブルガリアヨーグルトビヒダス恵 ヨーグルトなどの400gの大型カップのヨーグルトも1日摂取目安量(100g)あたり30円以上の費用がかかりますね。

ヤクルトとピルクル、どちらがオススメか

  • どちらも信頼のトクホの表示許可取得製品なので「整腸作用」を期待するならどちらでもOK
  • 価格を気にせずゴクゴク飲みたいならピルクル
  • 乳酸菌を関与成分とする特定保健用食品の製品のなかでも最もリーズナブルなものを求めるならピルクル
  • かの有名な乳酸菌L.シロタ株を摂取したいならヤクルト
  • 大切な人や病中・病後の人に送るなら圧倒的に研究成果豊富なシロタ株を含むヤクルト

結局はこのような結論になると思います。

プロバイオティクスの効果は良くも悪くもマイルドなことが特徴です。

毎日続けなければ効果は得られません。

ヤクルトにしろ、ピルクルにしろ、毎日、数週間は続けてみましょう。

ピルクルのほうが安いので費用的には続けやすいですね。

ヤクルトはヤクルトさんに定期的にヤクルトをもってきてもらうと、買い忘れもなくなって長く続けられるでしょう。(ヤクルトさんがもってきてくれるのはヤクルト400