善玉菌の増やし方、悪玉菌の減らし方

私たちのカラダのいたるところに善玉菌と悪玉菌が住んでいます。

よく話題になるのは大腸の善玉菌、悪玉菌です。

人の腸には粘膜免疫の約60%が集中しており、腸内環境を整えることは健康に生きていく上でとても重要なことです。

そこで、腸における善玉菌を増やし方、悪玉菌の減らし方をまとめました。

増やすべき善玉菌

まずは増やすべき善玉菌を確認しておきましょう。

人の腸内フローラにおいて代表的な善玉菌はビフィズス菌と乳酸菌です。

  菌の特徴 作用の例
ビフィズス菌
  • 主に大腸に生息する主力の善玉菌
  • 酸素があると生育できない
  • 加齢と共に減少する
     
  • ビタミンB1、B2、B6、B12、K、ニコチン酸、葉酸等を合成
  • 腸内で栄養成分が効率よく吸収できる環境を整える
  • 乳酸、酢酸の産生による腸内pHの低下
  • 免疫力強化
  • 中性脂肪低下
  • 発がん性物質を吸着
乳酸菌
  • 乳酸を作り出す
  • 整腸作用
  • 乳酸を作り出す

腸内環境を整えるために増やしたい善玉菌は基本的にはビフィズス菌です。ビフィズス菌は腸内の善玉菌のうちの99%を占めているものです。

乳酸菌入のヨーグルトなどを腸内環境改善のために摂取しますが、多くの乳酸菌の研究成果を見てみると、

”乳酸菌○○株を2週間摂取してもらったところ、ビフィズス菌が増えて悪玉菌が減少しました。”

といった記述が見受けられます。

つまり、こういった研究成果からもわかるように

整腸作用ためにはビフィズス菌を増やすことがもっとも重要

ということですね。

減らすべき悪玉菌

悪玉菌は人とは共生関係が薄く、

  • 腸内環境を悪化させる
  • 有害物質を作り出す
  • 老化を促す

といった悪い効果をもたらす菌のことを指します。

  菌の特徴 作用の例
ウェルシュ菌
  • 代表的な悪玉菌
  • タンパク質を代謝する
  • 腸内phが低いと増殖しにくい
  • 加齢に伴い割合を増す
  • 有害物質であるアンモニア・インドルールを産生する
  • 臭いオナラの原因になる有害物質を産生する
  • 腸内を腐敗させる
毒素産生型フラジリス菌
(ETBF菌)
  • 日本人の約10%が保菌すると推測される悪玉菌
  • 大腸がんの原因になる毒素を産生する

悪玉菌といっても腸内フローラという一種の生態系の一員です。

悪玉菌が腸内環境で優勢にならなければ特に問題はありません。

善玉菌の増やし方

善玉菌を含む食品を摂る

善玉菌には整腸作用があるものが多く確認されています。

乳製品の発酵食品ではヨーグルト、チーズ。漬物では京都のすぐき漬け、キムチ。その他には麹菌を使った味噌、納豆菌の納豆、などが思い浮かびますね。

ヨーグルトで善玉菌を摂る

発酵乳や乳酸菌飲料で善玉菌を摂取することがもっとも手軽といえると思います。

特定保健食品のものや、スイーツのようにおいしいもの、脂肪0のものなど選択肢が非常に多いです。

発酵食品の漬物で摂る

漬物には植物由来のの由来の乳酸菌が入っています。つまり、植物の葉などに住んでいた乳酸菌です。

植物由来の乳酸菌の特徴は過酷な環境で生きてきたため、生命力が強いことです。そのため生きて腸に届くものも多いです。

しかし、漬物から大量に摂取しようとすると同時に塩分も大量に摂取してしまうことになります。注意が必要ですね。

納豆で摂る

大豆はスーパーフードと呼ばれるような非常に栄養価の高い食べ物です。

納豆菌で発酵させることによってさらにその魅力を増します。

納豆菌は水産・畜産でも利用される素晴らしいプロバイオティクスです。生命力はプロバイオティクスとしては最強レベルで、芽胞という状態になったものは熱湯やアルコールなどで殺菌できないほどです。

納豆菌それ自体もすばららしいプロバイオティクスですが、納豆の魅力は

  • 納豆菌が摂取できる
  • スーパーフードの大豆が摂取できる
  • 納豆菌が発酵の際に大豆のアレルギー原因物質を減少させる

といったことが挙げれます。

サプリで摂る

サプリならヨーグルトの嫌いな人でも乳酸菌を、納豆の嫌いな人でも納豆菌を取ることができます。

日常的な食事からは摂取できないビール酵母なども摂ることができます。出先でも簡単に摂ることも容易です。

ヨーグルト、納豆を継続的に食べることが難しい方はやはりサプリがオススメです。

善玉菌のエサを送り込む

大腸に住むビフィズス菌もエサを必要としています。主なエサは糖質です。

しかし、多くの糖質は小腸までで消化・吸収されてしまいます。大腸まで消化されずに届けることができればビフィズス菌を支援することができます。

オリゴ糖

オリゴ糖は大腸までほとんど消化されずに到達し、善玉菌のエサになってくれる糖質の一種です。悪玉菌のエサになりにくいことも特徴です。

オリゴ糖を摂取して腸内フローラにおけるビフィズス菌の割合を格段に増やすことができたという実験結果もあります。

食物繊維

食物繊維は近年では第六の栄養素とも呼ばれることもある、とても重要なものと認識されています。

食物繊維が直接的にビフィズス菌のエサになるわけではありませんが、食物繊維は便のかさを増したり、腸内細菌のエサになって腸内のpHを酸性に傾けて腸内環境を改善する働きがあります。

適度な運動をする

適度な運動をすることも腸内環境を整える上でも重要です。

また筋力の低下は便秘の原因になることもあります。

過度なストレスを避ける

たとえ若くて健康な人でも過度なストレスを受けると腸内のビフィズス菌は減少し、老年期と同じ割合にまで下がってしまうこともあります。

過度なストレスは禁物です。

悪玉菌を抗菌物質で減らす

ビフィズス菌や乳酸菌は乳酸や酢酸を作り出して腸内を酸性に傾けて悪玉菌を抑制します。

善玉菌を増やせば自ずと悪玉菌は減るということですね。

善玉菌の中には乳酸や酢酸など以外に抗菌物質を作り出すものもあります。

たとえばロイテリ菌の作り出すロイテリンはグラム陰性菌、グラム陽性菌、酵母、カビ、原生動物といった人にとって都合の悪いものばかりを抑制する作用があります。

ラクトコッカスの作り出すナイシンはファーミキューテス門を抑制するといった作用があります。