プロバイオティクスとは

プロバイオティクスの定義

プロバイオティクス(probiotics)とは抗生物質(antibiotics)への批判から生まれた言葉で、ラテン語の接頭語pro(〜のために、ともに) とギリシャ語「生命」を意味する「bios」を組み合わせた学術用語です。

プロバイオティクスの定義は研究者・機関などによって異なる場合もありますが、下のどちらかの定義が用いられることが多いようです。

一般的なプロバイオティクスの定義
英国の微生物学者Fuller博士により「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」(1989)と定義されました。
プロバイオティクスの応用範囲が腸内環境に限られていますが、現在でもこの定義が広く受け入れられています。
食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)の合同専門家会議(2001年)による定義

この専門家会議でプロバイオティクスは「十分な量を投与された際に宿主に健康上の利益を与える生きた微生物」と定義されました。

“live micro-organisms which, when administered in adequate amounts, confer a health benefit on the host”

※厚生労働省・消費者庁によるプロバイオティクスの定義はないようです。

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代表的なプロバイオティクスであるビヒダス

プロバイオティクスの応用範囲

2001年の食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)の合同専門家会議でのレポートによると、プロバイオティクスが応用できる範囲として次のようなものが挙げられています。

  1. 消化器に関連した疾患
    • 細菌、ウイルスによる下痢(例:サルモレラ菌、ロタウイルスなど)
    • ヘリコバクター・ピロリ菌感染とその合併症(例:慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃ガンなど)
    • 炎症性疾患(例:クローン病、潰瘍性大腸炎など)
    • 過敏性大腸
  2. ガン(例:胃ガン、大腸ガン、膀胱ガン
  3. 便秘
  4. 粘膜免疫強化(例:マクロファージ活性化、NK細胞増強、slgA分泌亢進など)
  5. アレルギー(例:食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息心など)
  6. 血管疾患コレステロールの低下
  7. 泌尿器疾患(例:カンジタ膣炎、尿路感染症

プロバイオティクスとは口から肛門にいたる広義の消化管に定住する常在細菌群に働きかけ、ヒトや動物に良い影響を与える生きた微生物、またはそれを含む製品や食品のことを指します。

ここに挙げられている効果以外にも今日では「お口の中の健康」、「高血圧の予防」、「安眠」、「プリン体対策」、「ドライアイの改善」、「マウスの寿命の伸長・アンチエイジング」など様々な効果が確認されています。

Fuller博士やこの合同専門家会議でのプロバイオティクスの定義のいずれにおいても、プロバイオティクスに使用される善玉菌は生きている必要があるとされています。

プロバイオティクスとして利用される菌の種類

プロバイオティクスとして利用される菌は次のようなものがあります。

乳酸菌

乳酸菌とは主に乳酸を作り出す菌の総称です。

乳酸の他にもロイテリ菌などの乳酸菌はロイテリンなどの抗菌物質を作り出すものもあります。

乳酸菌は人のカラダの様々な部位に生息しています。

プロバイオティクスとして利用される乳酸菌は、

  • 口内
  • 小腸
  • 大腸

などで活躍します。

生きて腸まで届くビフィズス菌

ビフィズス菌は主に小腸下部から大腸に生息する人にとって主力の善玉菌です。

ビフィズス菌と乳酸菌は近年では分類的には別の菌とされています。

ビフィズス菌は酢酸を多く作り出すことが特徴です。

腸内を酸性に傾け、悪玉菌を抑制して腸内環境を改善します。

ビフィズス菌は酸素や強い酸性に弱いですが、プロバイオティクスとして用いられる菌はもちろん違います。

酸素や強い酸性に耐えて腸まで到達することができるものが多く開発されています。

酪酸菌

文字通り酪酸(短鎖脂肪酸の一種)を作り出す菌です。

生命力が強く生きたまま腸に届きます。

糖化菌・枯草菌・納豆菌

納豆菌・枯草菌は糖化菌として分類されます。

圧倒的に強い生命力をもち、ヒトの腸に到達し、プロバイオティクスとして機能します。

生きて腸に到達し、善玉菌のエネルギー源になる「糖」を産生してビフィズス菌などの増殖を促進します。

納豆菌は水産・畜産分野でも利用されています。

酵母

酵母菌もプロバイオティクスとして利用されます。

「ケフィア」にも酵母菌が入っていますね。

麹菌

麹菌をプロバイオティクスとして利用する製品は有名なところでは「強力わかもと」があります。

プロバイオティクスの安全性

プロバイオティクスの効果は良くも悪くもマイルドなのが特徴です。

基本的に副作用はありません。

その代わり、効果を得るには数週間~数ヶ月と継続して摂取しなければなりません。

死んでしまった菌は?

生きとし生ける善玉菌

スーパーで買ってきたヨーグルトに含まれる善玉菌も時間を経るにつれて、どんどん死んでいってしまいます。(ビフィズス菌BE80のようにヨーグルトの賞味期限時おいてもほとんど生き残っている菌もあります。)

新鮮なヨーグルトを適切なタイミングで食べても胃酸で死んでしまう善玉菌もたくさんあります。

では死んでしまった善玉菌は私達にとってもはや用無しの存在になってしまうのでしょうか?

一般的には善玉菌は生きて大腸に到達しないと意味がないと思われることが多いですが、実は必ずしもそうではありません。

実はかなり昔から死菌を摂取した場合でも整腸作用などの良い効果があることが確認されていました。

むしろ死菌のほうがいい場合もある

善玉菌のなかには加熱殺菌処理することにより、生菌の場合に比べてより一層、免疫力強化などの効果が増す乳酸菌も存在します。

近年ではあらかじめ殺菌処理された乳酸菌が開発されており、そのような商品には、

  • 品質の安定
  • 製品の管理がしやすい
  • 1グラムあたり生菌にくらべて圧倒的にたくさんの菌を摂取できる

このようなメリットがあります。

殺菌済みの乳酸菌は生菌に比べて扱うのが容易なため、清涼飲料水や飴玉に添加したりと、いろいろなバリエーションの商品が増えています。

菌が作り出す物質にも効果あり

生菌、死菌ということはあまり関係なく、菌が体外に作り出した多糖体を売りにする商品もあります。

インフルエンザの流行る季節に品薄になることもあるあの赤いパッケージのヨーグルトもその一つですね。

こういった菌自体(死菌)、あるいは菌の作り出す物質がカラダに直接良い影響をもたらすことはプロバイオティクスの範疇ではなく、東京大学名誉教授の光岡先生によって提唱されるバイオジェニックスの範疇になります。

善玉菌を取らずに腸内環境を改善する方法

プロバイオティクス・バイオジェニックスは生きた菌・菌の体・菌の産生した物質による効果でしたが、善玉菌自体を取らずに腸内環境を改善するプレバイオティクスという概念もあります。

プレバイオティクスは善玉菌を摂取するわけではなく、もともと腸内にいる善玉菌を活性化したり、腸の活動を改善して腸内環境を改善する食品のことを指します。

生きた菌や菌体それ自体を摂取して腸内環境を改善しようとするプロバイオティクス・バイオジェニックスとは手段は違いますが、腸内環境を改善しようという基本的な目的は同じといっていいでしょう。

腸内環境を改善する作用のある食物繊維、消化酵素で分解されずに大腸まで到達してビフィズス菌のエネルギー源になるオリゴ糖が代表的なプレバイオティクスです。

プロバイオティクスとシンバイオティクスを同時に摂取することをシンバイオティクスと呼びます。

プロバイオティクスの長所、短所

プロバイオティクスのメリット

  • 摂取したあと数日間(菌や条件によってはもっと長い期間)は体内にとどまり、効果をもたらす
  • 体内で増殖する菌もある
  • プロバイオティクスには基本的に副作用はない
  • 家庭で培養できるものもある。大量にヨーグルトを作れるので経済的にお得な場合もある。

プロバイオティクスのデメリット、注意点

  • プロバイオティクスを摂取しても、体内にずっと定着してくれるわけではない
  • ヨーグルトなどでたくさんの菌を摂取しようとすると相当な量を食べなくてはならない
  • 効果はマイルドなので継続して摂取する必要がある
  • 製品に含まれている菌の寿命を気にしなければならない
  • 生きた菌を使用するため、商品のバリエーションが限られる

 

善玉菌が腸管に定着したり、大腸に生きて到達してさらに増殖したりといったことを期待する方は生菌入りのプロバイオティクスを選びましょう。

このページでは、

  • 生きた菌による効果が期待される菌
  • 生きた状態で摂取することになる菌

をまとめました。

プロバイオティクスの菌の中には、バイオジェニックス的な特徴を持つ菌も含まれています。